著者
丹羽 博之
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学論集 (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.(41)-(50), 2010

漢語が中国から東アジアの国々に伝わり、それぞれの国の文化に寄与したことは贅言を要しまい。本稿では、総角・愛人・知音の三つの漢語が朝鮮半島や日本に伝わり、如何に変化したかを考察する。総角の語は、中国最古の詩集『詩経』(衛風・氓)に「総角之宴、言笑晏晏」と見える。『大漢和辞典』では、この漢語に、「あげまき、髪をすべ聚めて頭の両側に角の形にむすぶ小児の髪型。(略)」と注する。この語は早くも上代、日本に入り、『時代別国語大辞典 上代篇』には、「あげまき[総角]少年の髪型の一種。」とある。このほか、古典世界では、催馬楽(総角)、『源氏物語』(総角)にも見られる。一方、この語は韓国にも伝わり、現在でも使われている。「総角」の語は『韓日・日韓辞典』(小学館)には、「未婚の男、チョンガー、独身男性」とある。チョンガーは日本にも伝わり、今も使用されている。中国から伝わった総角の語は日韓でそれぞれに変化した。現在、総角の語は元の中国では殆ど使われず、日本でもわかる人は減少している。チョンガー(総角)は、韓国においてだけ現在も使われ続けている。ほぼ同様のことが愛人の語にもあてはまる。元は「人を愛す」という普遍的な語であったり、英語のloversの翻訳語であったが、韓国語では愛人は、恋人の意味で使われる。日本の所謂愛人は戦後「情夫、情婦」の意味も加わり、変化した。中国でも、恋人の意味から配偶者の意味に変化した。また、知音の語も現在中国では、本来の意味で使われているが、日本韓国では恋愛関係にも使われている。この三例を取り上げ、漢語は本国でも、日韓でも時代とともに様々に変化していったことを考察する。

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