- 著者
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早尻 正宏
- 出版者
- 林業経済学会
- 雑誌
- 林業経済研究 (ISSN:02851598)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.2, pp.51-59, 2011
- 参考文献数
- 6
本稿では,鳥取県智頭町を事例に,林業技能者養成をめぐる地域的取り組みの展開過程を整理し,その到達点と課題を明らかにした。智頭町では1991年,町や森林組合などの出資により,林業技能者養成を目的とした第3セクターが設立された。しかし,労働力需要の減退もあって,第3セクターで技能習得した人が町内の他事業体に移籍するという当初の設立目的は実現困難となっていた。こうした雇用なき職業訓練の現状を解決するため,住民が町の課題を話し合い予算折衝まで行う町独自の住民自治組織において,雇用創出と職業訓練をセットした林業振興策が提起されるなど,同町における林業技能者養成は新しい段階を迎えつつあった。