- 著者
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飯田 哲也
- 出版者
- 環境社会学会
- 雑誌
- 環境社会学研究
- 巻号頁・発行日
- vol.8, pp.5-23, 2002
- 被引用文献数
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2
1998年に始まった「自然エネルギー促進法」の法制化を目指す市民運動は,2002年5月31日の参議院本会議で政府提案による「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(以下,「新エネ利用特措法」)が成立したことで,一応の区切りを迎えた。過去3年間余りに及ぶ「自然エネルギー市民立法」は,超党派の国会議員約250名からなる自然エネルギー議員連盟と連携しつつ,エネルギー政策ではもちろん,環境政策としても,一時は大きな運動に成長した。しばしば「鉄の三角形」と形容される政・官・業からなる「旧い政策コミュニティ」が完全に支配してきた日本のエネルギー政策に対して環境NPOが大きな影響力を持ち得たケースとしては,例外的といってもよいと思われる。その「自然エネルギー市民立法」を通して,何が達成され,残された課題は何か。グリーン電力制度の登場なども視野にいれ,ここ数年間にわたる自然エネルギーを巡る市民運動を,自然エネルギー促進運動の中心的な立場にあった当事者の視点から検証を試みた。