著者
一瀬 早百合
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.67-79, 2011-08-31

地域療育システムが整備され,20年余り経過している.その前提には「障害の早期発見・早期療育」が望ましいものであるという認識がある.本稿では,乳児期に発見される障害に限定し,早期の段階に特定した母親の変容プロセスを明らかにした.研究方法としては,わが子が障害であるという経験をした母親の感情や認識,他者との相互作用に焦点をあてるため質的研究法を採用した.早期の段階の母親の経験とは,《自己のポジショニング》の揺らぎをめぐる物語であった.母親の《自己のポジショニング》とは,自己のイメージという<自己>そのものと,自己と他者,広くとらえれば自己と環境との接点である<関係>の2つを包含するものであった.この変容プロセスには「再生」「逃避」「獲得」「境界」という4つのストーリーが見いだされた.

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