- 著者
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野田 大志
- 出版者
- 日本語学会
- 雑誌
- 日本語の研究 (ISSN:13495119)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, no.2, pp.1-16, 2011-04-01
本稿は,現代日本語の[他動詞連用形+具体名詞]型の複合名詞を,構文理論(construction grammar)における構文であると位置づけ,その構文的意味形成について包括的,体系的に分析した。まず,考察対象とする複合名詞の多様な構成要素間の関係性を構文的な多義性と位置づけ,個々の複合名詞の意味の検討を踏まえてボトムアップ的に抽出した7つの構文的意味を認定した。次に意味形成における2つのレベルの比喩の関与について検討した。1つ目として,個々の複合名詞の意味形成への比喩の関与について明らかにした。2つ目として,構文的意味拡張(構文的多義ネットワークの形成)の動機づけとしての比喩の関与について明らかにした。