著者
森 庸子
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.71-82, 2006-12-30
被引用文献数
1

本研究は,話し言葉において主要な統語境界を示す音声的手掛かりが,英語母語話者と日本人英語学習者でどのように異なるかを検討したものである。実験ではrainingとhomeが,文末または節末にそれぞれ3回と4回生起する談話を,8人のアメリカ英語話者(NS)と30人の日本人大学生(JS)が朗読した。rainingとhomeのピッチと長さ,その前後のポーズ挿入を音響分析した結果,JSはNSより頻繁に節末にポーズを挿入する傾向が観察された。またNSは文末より節末で大きくピッチを変動させ,談話中の位置と前後関係によりピッチパタンとピッチの高さを多様に変化させた。これに対してJSでは,文末・非文末(節末)の区別はなく,一貫してピッチの変動幅の比較的小さい下降調が観察された。またfinal lengtheningは,rainingとhomeの語末子音の/〓/と/m/において,JSの方がNSより有意に小さかった。JSのこれらの音声的特徴から,日本語のイントネーション・時間構造の干渉が考察された。

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