- 著者
-
高村 悦子
- 出版者
- 東京女子医科大学
- 雑誌
- 東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
- 巻号頁・発行日
- vol.82, no.1, pp.E8-E14, 2012-01-31
アレルギー性結膜疾患は、I型アレルギーが関与する結膜の炎症性疾患であり、臨床所見の特徴から、アレルギー性結膜炎(季節性、通年性)、春季カタル、アトピー性角結膜炎、巨大乳頭結膜炎に分類される。スギ花粉症を代表とするアレルギー性結膜炎の治療は、花粉飛散開始前から抗アレルギー点眼薬を開始する初期療法が、花粉飛散ピーク時の症状を緩和する。抗アレルギー点眼薬のうち抗ヒスタミン作用を有する抗アレルギー点眼薬には即効性が期待できる。花粉飛散ピーク時で症状がおさまらなければ、ステロイド点眼薬を併用する。また、セルフケアとしては、防腐剤無添加人工涙液での洗眼や外出時のゴーグルの装用が役にたつ。,重症春季カタルの治療としては、抗アレルギー点眼薬、ステロイド点眼薬、免疫抑制点眼薬の併用が有用である。症状の改善に伴いステロイド点眼薬から漸減する。現在、本邦では、2種類の免疫抑制点眼薬(0.1%シクロスポリン、0.1%タクロリムス)が認可されている。シクロスポリンは、抗アレルギー点眼薬とステロイド点眼薬の併用により、ステロイド点眼薬の漸減が可能である。タクロリムス点眼薬は、ステロイド抵抗性の重症例に対しても単剤で効果がみられる。