- 著者
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栗原 淳
植松 友彦
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論 (ISSN:09135685)
- 巻号頁・発行日
- vol.111, no.142, pp.35-40, 2011-07-14
秘密分散法は,安全な清報管理を実現する手法として注目を浴びている.その中で,線形ブロック符号を用いて構成される秘密分散法について,符号とアクセス構造の関連性の解析が行われてきている.しかしながら,符号の構造と,非資格者集合から漏洩する情報量の関連性は未知である.すなわち,既存の手法によって任意の線形符号から構成された秘密分散法では,'弱いランプ型しきい値法'のように,秘密の一部の要素が非資格者集合から確定的に復号されうる.小文では,秘密分散において秘密の一要素たりとも確定的には復号できない非資格者集合を'アクセス拒絶集合'と定義し,線形符号を用いた秘密分散法において,指定した集合がアクセス拒絶集合となるための,符号ならびにその双対符号の満たすべき条件を明らかにする.また,組織的パリティ倹査行列を有するCを双対符号とする線形符号C^⊥を用いた秘密分散法の構成法を与える.提案した構成法は,しきい値型と同様のアクセス構造を実現できることに加え,要素数α以下の全ての集合がアンチアクセス集合であるという特性('α-強秘密保護特性'と呼ぶ)を有する.さらに,この構成はCの有する一般化ハミング重みとMDS-rankによって特徴づけられることを明らかにする.