著者
大谷 栄一
出版者
佛教大学
雑誌
社会学部論集 (ISSN:09189424)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.1-22, 2012-03-01

戦後京都の宗教者平和運動は,1950年4月に結成された宗教人懇談会と1954年5月に設立された京都仏教徒会議の活動によって本格的に生起した。両団体は1954年3月の第五福竜丸事件を契機とする原水爆禁止運動に呼応し,京都の原水爆禁止運動の一翼を担いながら,運動を展開した。運動の担い手は仏教教団の指導者や大学関係者(教員・学生)が多く,この点は,各宗派の本山や多くの宗門系大学を抱える京都ならではの特徴であろう。1950年代を通じて,京都の仏教者・仏教系知識人たちは全面講和運動や原水禁運動に積極的に関わり,京都の労働組合や平和団体,地域組織との連携を通じて活動することで,戦後京都の秩序形成や府民たちの「平和」認識に対する一定の公共的役割をはたしたと評価できるのではないか。

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