著者
山中 健太
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学大学院紀要. 文学研究科篇 (ISSN:18833985)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.109-124, 2012-03-01

本論は、兵庫県宍粟郡千種町で昭和三〇年代から五〇年代にかけて地域の保健衛生上の問題を解決すべく実施された、地域保健活動の実態と受容を、ある保健婦の活動の足跡から明らかにするものである。昭和三〇年代、当地域では行政と住民双方から地域の保健衛生環境の改善に向けて様々なアプローチがなされた。そうした中、この活動の端々にある保健婦の存在が語られ、彼女が橋渡しとなって地域保健活動が行われていたことが分かった。また、彼女の活動を支えたのは地域住民であり、千種町いずみ会という地域組織の存在なしには語れない。従来、こうした地域変化における活動の意義について明確な分析がなされてきたかというと、いずれも行政側の見解でしかなく、住民との関係性のもとで語られることはなかった。本論は住民行政双方間の接触における実態の解明と受容の様子を論じ、地域生活の質的向上における双方間の協力関係のありようを明らかにした。

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