著者
足立 大 山中 健太朗 春原 政浩 降旗 建治 柳沢 武三郎 湯浅 昌謙
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.398, pp.81-86, 2002-10-18
参考文献数
4

本報では,日本の伝統建築物の一つである寺院(長野県信州新町 興禅寺)の音響特性と鳴らしものについて音響工学的観点から解析・検討した.寺院の残響特性を解析するとともに,施食会という儀式を録音・分析することによって,儀式に使われる鳴らしものについて周波数分析した.その結果から,本堂の残響時間は人の存在によって0.8秒前後(無)から0.7秒前後(有)へ変化すること,代表的な鐘の各共振周波数比が1:2.7:5であること等を明らかにした.そのような鳴らしものの中で,木魚は前報で検討し,等価回路に基づく合成木魚音が有効であることを明らかにした.この合成木魚音をバーチャル木魚音と呼び,引き続き,ばちによる力関数との畳み込みによる合成方式を提案し,バーチャル木魚と本物の木魚との合奏効果を検討した.その結果から,バーチャル木魚は本物の木魚と同様に使用できることが分かり,一人で何役もこなすことができる点でその有効性が検証されたと言える.
著者
秋山 久美子 山中 健太郎
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.111, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】リンゴのような丸い食材の皮を包丁で剥くという調理操作は、両手の動きを連動・協調させるような高度な運動スキルが必要である。そのため、その技術が巧である者から稚拙である者までの差が大きい。演者らは、丸むき技術の巧拙と包丁操作の関係を明らかにすることで、短時間でも効果的に調理技術を定着させるための要点を見出すことを目的として研究を行ってきた。昨年度の本大会で、包丁の角度、包丁の持ち方、包丁を持つ手の親指の動かし方が、丸むきの巧拙に関係していたことを報告した。本年度は、さらに筋肉活動に着目し、利き手の動きと、リンゴを支える手の動きの関係を明らかにすることを目的として研究を行った。【方法】栄養士養成学科の2年生80名を対象として、スクリーニング調査を実施した。その結果をもとに巧であるもの5名、稚拙であるもの5名を選び出した。それぞれの被験者にモーションキャプチャーの反射マーカーと筋電計を装着し、牛刀を用いてリンゴを丸のまま剥かせた。同時にビデオ撮影も行った。また、昨年度の研究結果をもとに剥き方の教習を行い、その教育効果についても検討を行った。【結果】リンゴの丸剥きが巧である者の腕の筋肉は、右手が包丁の刃を進めるために3~4回動いた後に、左手がリンゴを持ち帰るために1回動く。という、左右が連動したリズミカルな動きを見せていた。それに対して稚拙な者の筋肉活動は、不規則であった。昨年度の結果をもとに剥き方の教習を行った結果、リンゴの丸剥きの速度、完成度ともに効果がみられた。
著者
山中 健太
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学大学院紀要. 文学研究科篇 (ISSN:18833985)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.109-124, 2012-03-01

本論は、兵庫県宍粟郡千種町で昭和三〇年代から五〇年代にかけて地域の保健衛生上の問題を解決すべく実施された、地域保健活動の実態と受容を、ある保健婦の活動の足跡から明らかにするものである。昭和三〇年代、当地域では行政と住民双方から地域の保健衛生環境の改善に向けて様々なアプローチがなされた。そうした中、この活動の端々にある保健婦の存在が語られ、彼女が橋渡しとなって地域保健活動が行われていたことが分かった。また、彼女の活動を支えたのは地域住民であり、千種町いずみ会という地域組織の存在なしには語れない。従来、こうした地域変化における活動の意義について明確な分析がなされてきたかというと、いずれも行政側の見解でしかなく、住民との関係性のもとで語られることはなかった。本論は住民行政双方間の接触における実態の解明と受容の様子を論じ、地域生活の質的向上における双方間の協力関係のありようを明らかにした。