著者
国狭 武己 Takemi Kunisa 九州情報大学経営情報学部非常勤
出版者
九州情報大学
雑誌
九州情報大学研究論集 (ISSN:13492780)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.95-106,

本研究の結果を以下のように要約する。まず、TQM と MOT の初期接点の契機を明らかにした。それは、1980 年NBC 放映の「If Japan Can… Why Can't We?」である。これによりアメリカでデミングと日本的TQC が脚光を浴びることになり、アメリカのTQM の萌芽が始まる。また、その直後の1981 年にMIT スローンスクールでMOT コースが開講された。これを契機にTQM と MOT の三つの初期接点が出現する。第一の接点は、1985 年に発表された産業競争力委員会(1983 年設立)の報告書「ヤング・レポート」である。これは技術重視を主張し、その後のMOT の展開に大きく影響している。また、これはすぐ後に制定されるMB 賞法に大いに影響したと判断できる。第二の接点は、1987 年に制定されたMB 賞法である。これは、TQM の確立に直接関与しているだけでなく、MOT にも大きく影響していると思われる。それは、MB 賞評価基準等から読み取れる。最後の第三の接点は、1989 年に発表されたMIT 産業生産性調査委員会(1986 年発足)の調査報告書Made in America である。これも「ヤング・レポート」と同様、技術重視を主張するが、より詳細である。品質向上や継続的改善等にも言及しているので、MOT だけでなくTQM の発展にも大きく貢献したと判断できる。

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