著者
鈴木 秀史
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.47-61, 2012-03-25
参考文献数
75

本論において,中期中新世の横尾層と伊勢山層の泥岩から産出した,深海性サメ類であるツノザメ目3科4属の歯化石を形態的特徴をもとに記載した.これまでの研究と合わせるとツノザメ目5科8属の化石がこの地層から産出したことになる.中新統の地層では,同一の産出地点から同類化石が集中して産出することは極めて珍しい.産状として注目されるのは,最も深い生息域に棲むカラスザメ属,ユメザメ属,フンナガユメザメ属の,生存時に近いと考えられる数本の歯が接合した形で産出したことと,ヨロイザメでは上下顎歯群と皮小歯群が一塊として産出したことである.これらの発見は,サメの接合歯や皮小歯が生存時か死後直後に体から離れ,速やかに泥が被覆し化石化したことを示す.また,これらの化石は中期中新世の北部フォッサマグナ地域の古海況を考察するうえで重要な情報となる.本論により,横尾層上部から伊勢山層下部の地層は,陸棚斜面から深海平原へと連続的に深海化が進んでいったことが明らかとなった.

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