著者
清水 宏一
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.110, no.1, pp.39-60, 2012-03-17
被引用文献数
2

【背景】高血圧症は加齢と共に増加し,70歳以上の人口の過半数は降圧剤を内服している。顧客の高齢者層へのシフトを考慮すると,この集団に対する引受査定の重要性は大きい。高血圧治療患者への適切なリスク評価の実現が,本検討の目的である。【方法】分析対象は当社の2001〜2009年度死亡保障・医療保障新規契約者のうち,新契約時に血圧値の確認が可能であった契約とした。死亡リスクは多変量Cox比例ハザードモデルを,入院リスクは多変量一般化線形モデルを用いて分析した。【結論】死亡リスクに関しては血圧治療群のリスクが有意に低く,-20点程度の美点評価が適切と考えられた。入院リスクは血圧治療群が有意ではないものの高い傾向にあった。査定上重視すべき高齢者や血圧高値者で,治療群の死亡・入院リスクが非治療群を上回る傾向は認められなかった。降圧治療中患者への現在の査定はリスクを過大評価しており,査定の適正化は引受拡大への寄与も期待できる。

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