著者
原田 新
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.95-104, 2012-03-20

本研究の目的は,青年期から成人期への発達的移行に伴う自己愛と自我同一性との関連の変化について検討することであった。青年期として18歳〜25歳の大学生・大学院生の371名,成人期として26歳〜35歳の352名に対して,自己愛と自我同一性の尺度を含む質問紙調査を実施した。発達段階ごとに自己愛と自我同一性との関連について検討した結果,特に「注目・賞賛欲求」と「共感性の欠如」に関して,青年期と成人期における注目すべき関連の差異が示された。さらにそれら自己愛の2変数を説明変数,「中核的同一性」,「心理社会的自己同一性」の2種類の自我同一性を目的変数とするモデルを両発達段階に対して仮定し,多母集団同時分析を実施した。その結果,青年期よりも成人期の自己愛の方が自我同一性に対してより強い負の影響を及ぼすことが示された。これらの結果から,「注目・賞賛欲求」や「共感性の欠如」という自己愛的心性を解消することは善年期の発達的課題であり,そのような課題が解決されなかった場合,成人期におけるそれらの高さは自我同一性の形成に負の影響を及ぼすことが示唆された。

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アブストラクト読んだ。「賞賛欲求」「共感性の欠如」のような自己愛を、青年期に上手に解消できないと(つまり“こじらせる”と)、成人期のアイデンティティ形成に負の影響があるらしい。/発達的移行における自己愛と自我同一性との関連の変化 http://t.co/hH55j1MQ

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