著者
嵯峨 景子
出版者
情報文化学会
雑誌
情報文化学会誌 (ISSN:13406531)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.27-34, 2011-12-13

本稿は明治・大正期に活躍した流行作家内藤千代子に焦点を当て,明治末期における女性表現と文学活動に新たな可能性を示すことを目的とする。明治期に作家となるためには,文壇とのコネクションを形成するというプロセスが必要であった。内藤千代子は明治末期に雑誌『女学世界』における投稿という手段で頭角を現している。若い読者に支持をされ,文壇とは異なった場で受容された人気作家であった。内藤は当時尖鋭的なトピックであった男子学生を相手とした男女交際を描き,さらには一高帝大の男子学生文化もモチーフとして作品に取り入れ,男女学生から支持を集め,著作がベストセラーとなった。同時代における人気の高さにも関わらす,現在内藤千代子は忘れられた作家である。本稿では内藤千代子という作家の特徴をまとめ,女性作家の系譜のなかへの位置づけを試みる。さらに内藤千代子の受容のされ方や文学研究における周縁化か,文壇との繋がりのなさやユースカルチャーのなかでの受容に起因するものであることを示す。

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そういえば内藤千代子論文がCiNiiで公開されているのでご興味がありましたら是非。右のプレビューから全部読めるはずです。http://t.co/RutoDdZ9

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