著者
松本 奈緒
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 (ISSN:13449214)
巻号頁・発行日
no.34, pp.57-70, 2012-05

本研究では,学習者の認知に着目し,自主的学習を促進するデジタルコンテンツを用いた秋田の盆踊りの学習において,学習者の認知の特徴と変化について明らかにすることを目的とした(対象は大学生).方法については,数学科教育の分野でメタ認知を促進するために用いられたふきだし法(亀岡,1992;1996)を体育科教育分野に応用し,学習者が盆踊りを学習する際の認知を測る調査紙として用い,ふきだしに学習者が記入した自由記述データをカテゴリー化しマッピングすることを行った抽出したデータは全335回答であり,1時間目は84回答,2時間目は52回答,3時間目は84回答,4時間目は115回答であった.1時間目には,動きの特徴を客観的に述べる記述(36回答),DVDで学習した衣装・装束について(8回答)盆踊りの一般的知識について(6回答)の認知記述が多く,2時間目には動きの特徴を客観的に述べる記述(17回答)だけでなく,動きのポイントや特徴を意識する認知記述が(31回答)増えたさらに3時間目,4時間目には動きのポイントや形容詞や動詞などで動きを意識する認知記述(3時間目は48回答,4時間目は72回答)が増え,3時間目よりも4時間目の方が学習者がより詳細な動きの特徴を抽出し意識できていることが明らかになった.このことから,本実践により,学習者の認知カテゴリーは学習が進むにつれて多種になり,動きを客観的に捉えることから,運動の行為者として一人称で運動を捉え,詳細にわたって動きを意識し運動のポイントを整理できるように変化したことが分かった.

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