著者
長澤 岳大 松本 奈緒 NAGASAWA Takehiro MATSUMOTO Naho
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = BULLETIN OF THE CENTER FOR EDUCATIONAL RESEARCH AND PRACTICE FACULTY OF EDUCATION AND HUMAN STUDIES AKITA UNIVERSITY (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.47-58, 2017-03-31

運動部活動はスポーツを通じて生徒の総合的な成長を支える活動である.この指導に関しては伝統的に学校の教員が担ってきたが,教員の多忙化の原因にもなり,これを軽減するために文部科学省は外部指導員の導入を決定した.このように重要性を指摘され,今後着目される外部指導者について研究する意義があるだろう.本研究の目的は中学校運動部の外部指導者の信念や教育的意義,教育内容,顧問や学校,保護者との関係について事例研究として明らかにすることであった.研究の結果,外部指導者は指導信念として,強くなるだけでなく,スポーツを通じて感動を体験させる,スポーツを通じた人間関係や出会いの素晴らしさを知る等,人格形成や人間関係の構築も含めた幅広い考えを持っていることが明らかとなった.指導内容や指導方針として,基本的な技術の習得や自分で考えることを含めた練習,動きながら教えること等の考えを持っていることが明らかとなった.関係性については,顧問とはある程度主導権を持ちながらも上手く分担し,保護者とはコミュニケーションを取るように気を配っていることが明らかとなった.しかし,中学校における部活動の意義については理解しておらず,また,学校に対し部活動の活動時間の制約が多いことを不満に思い,改善してほしいという,運営・管理上の事情を踏まえない過度な要望を持っていることが明らかとなった.
著者
石井 照久 保坂 学 佐藤 宏紀 三浦 益子
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 (ISSN:13449214)
巻号頁・発行日
no.34, pp.145-156, 2012-05

中学校理科の生物分野と高校生物において,教師が指導上難しさを感じることのある単元や箇所を抽出し,指導を困難にしている原因を明らかにするととともに改善策を検討した.抽出された事項は,(1)教科書の記載に関するもの,(2)色に関するもの,(3)実験の技術に関するもの,(4)教授法に関するもの,に大別された.そのうち(1)には,教師の指導を困難にしているだけでなく,生徒の理解を混乱させるものも含まれていた.それぞれの改善策を検討した結果,教師側の教材研究・実験技術の向上,などにより改善できる場合もあったが,教科書出版会社に改善を依頼したほうがいい場合もあった.また,容易には解決できない事項もあった.本報告は,秋田大学大学院教育学研究科の教科教育専攻理科教育専修の授業科目「生物学研究II」において,平成23年度前期の授業で展開された成果報告でもある.
著者
石井 照久 小野寺 藍 ISHII Teruhisa ONODERA Ai
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = Bulletin of the Center for Educational Research and Practice, Faculty of Education and Human Studies, Akita University (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.57-72, 2018-02-28

小学校,中学校,高等学校には,校歌が存在し,校歌の中には生き物の名前が唄われていることが多い.本研究では,校歌に登場する生き物に着目し,それを生物教育に活用することを提案する.校歌に登場する生き物を実際の教育に活用している例はあるものの,なかなか公表されておらず,先行研究としてとりあげることは難しい.そこで,本研究では,秋田県の中学校校歌を例として,校歌にどのような生き物が登場しているかを示し,さらに公にされていない活用例を示すことを目的とした.さらに活用されていない生き物を使った教材開発を試みた.校歌は児童生徒にとって愛着のあるものである.本研究をきっかけに,生物教育において,校歌に登場する生き物がもっと利活用されることを期待したい.Every school from elementary to high has its own school song. In many cases, the school song contains a name of living thing in its words. We propose to apply these living things in biological education. In this paper, some educational practices applying living things, which were contained in junior high school songs in Akita Prefecture, are introduced. Moreover, two educational materials using a living thing in a junior high school song are developed. We expect that the application of living things in school songs will be increased in biological education.
著者
松本 奈緒 MATSUMOTO Naho
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 Bulletin of the Center for Educational Research and Practice, Faculty of Education and Human Studies, Akita University (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
no.39, pp.37-46, 2017

本研究は,大学の保健体育教員養成課程における創作ダンスの授業に対する習者の認知をふきだし法による自由記述の分析によって明らかにしたものである.対象者は大学生であり,保健体育教員免許取得希望者11名であった.本研究により,以下の点が明らかとなった.学習者は各時間に学習したテーマや課題を明確に認知した.学習者が創作ダンスの単元の中で楽しい,面白いと肯定的に捉えたのは,創作ダンスのダンスそのもの,色々動けること,表現すること,自由に考えられること,何を表現しているか分かることであった.一方で難しい点として捉えたのは,いくつかの課題の実施(対比の動き,集まるとび散る),イメージすること,テーマを伝えること,大人数の動きの考慮,大げさやデフォルメ,感情表現であった.また,創作ダンスにおける鑑賞については,学習者は他の班の発表を鑑賞することにより,テーマの表現や各グループの表現の違いや構成の違いに気づくことができた.学習者は単元の学習が進むにつれて,前半ではどのようにテーマを表現するのか,様々な動きの工夫へ学習者の学習が焦点づけられていたが,後半では表現方法の多様性や効果的な指導へとより高次の焦点へと学習が移行した.This study analyzed that university student's conception of creative dance units in University PETE curriculum through balloon method free description analysis. Objects were 11 university students who would like to have physical education teacher license. This study suggest that: In every lesson students recognized clear theme and task they belong to. Students recognized positive, fun, interested that creative dance itself, variety moving, expression, free thinking, understanding what it expressed. Otherwise, students recognized difficult that some task accomplishment, image something from task or theme, transmission of theme, deformation, feeling expression. About creative dance appreciation, students recognized appropriate theme expression through movement, expression difference, structure difference of dance piece.As lesson progression students conception developed from how express theme and movement invention to variety expressional methods and effective expressional technique.
著者
柴田 健 SHIBATA Ken
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = Bulletin of the Center for Educational Research and Practice, Faculty of Education and Human Studies, Akita University (ISSN:13449214)
巻号頁・発行日
no.38, pp.203-212, 2016-03

スクールカウンセラーの学校教育への浸透に伴い,学校教育の「心理主義化」が問題となっている.2011年3 月に発生した東日本大震災に伴い,秋田県は多数の被災転校生を受け入れることとなり,これをきっかけに急激な「心理主義化」が進んだ.被災転校生には「心の傷」があるという言説が流布し,学校に緊急スクールカウンセラーが導入され,被災転校生のカウンセリングや教員へのコンサルテーションが行われることとなった.筆者は緊急スクールカウンセラーの一人として,教員へのコンサルテーションを中心に活動した.コンサルテーションを行うに当たっては,「心の傷」言説に与することなく,転校生受け入れの際に教員が行った活動や工夫を明らかにするというインタビュアーの役割を取った.本稿では,3 つのコンサルテーション活動について報告し,社会構成主義的心理療法の観点から考察を行った. With the introduction of the school counselorto school education, "psychologism in schooleducation" has become a problem. As a result ofthe Great East Japan Earthquake that occurred inMarch 2011, Akita Prefecture has accepted a largenumber of transfer students from the disasterareas. Along with this, Sudden "psychologism"has progressed. A discourse that transferstudents have" psychological trauma" was spread,emergency school counselor is introduced into theschool, and counseling for the transfer studentsand consultation for the teachers were carriedout. As one of the emergency school counselor, Idecided to center activities counseling for teachers.In carrying out the consultation, I did not adoptthe "psychological trauma" discourse, took therole of the interviewer that clarified the activitiesand ideas that teachers have made at the timeof transfer student acceptance. In this paper, Ireported the consultation 3 activities, and discussedfrom the point of view of social constructionismpsychotherapy.
著者
鈴木 徹 SUZUKI Toru
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = BULLETIN OF THE CENTER FOR EDUCATIONAL RESEARCH AND PRACTICE FACULTY OF EDUCATION AND HUMAN STUDIES AKITA UNIVERSITY (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.177-180, 2017-03-31

本研究は,肢体不自由特別支援学校におけるタブレット型端末の活用実態を把握した上で,今後の研修会の在り方について検討することを目的とした.タブレット型端末の活用の有無と活用する上での課題を整理したところ,様々な活用方法が試みられているにもかかわらず,台数不足等が指摘されていることが明らかになった.結果を踏まえ,タブレット型端末の活用に関する研修会の在り方について論じた.
著者
中村 信弘 斎藤 孝 藤井 慶博 高田屋 陽子 NAKAMURA Nobuhiro SAITO Takashi FUJII Yoshihiro TAKADAYA Yoko
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = BULLETIN OF THE CENTER FOR EDUCATIONAL RESEARCH AND PRACTICE FACULTY OF EDUCATION AND HUMAN STUDIES AKITA UNIVERSITY (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.149-158, 2017-03-31

特別支援学校に勤務する看護師を対象に医療的ケアに関するアンケート調査を行い,看護実践の問題や校内組織等の課題について回答を得た.その結果,病院で勤務する場合と学校で勤務する場合の看護実践の違いや,看護師が学校で医療的ケアを実践することの安心や不安に感じている事柄,校内組織で配慮すべき点等が明らかとなった.これらの結果をもとに,今後求められる看護実践力について考察するとともに,緊急時対応の必要性,看護師と教員によるチームアプローチの重要性を提起した.
著者
加藤 しお子 藤井 慶博 KATO Sioko FUJII Yoshihiro
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = BULLETIN OF THE CENTER FOR EDUCATIONAL RESEARCH AND PRACTICE FACULTY OF EDUCATION AND HUMAN STUDIES AKITA UNIVERSITY (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.167-176, 2017-03-31

秋田県の特別支援学校における居住地校交流の実態と居住地校交流に携わる教員の意識を調査した.その結果,秋田県では,居住地校交流の実施率が急速に増加しているものの交流回数や活動内容は特別支援学校の学級担任にとって必ずしも満足のいくものではない状況が示唆された.また,交流相手校である小・中学校においても,活動内容の充実は大きな課題であると捉えられており,学校間の連携が強く求められた.居住地校交流を充実させるためには「実施手続き等の整備やガイドラインの作成等の体制整備」「中学部における取組」「実践の蓄積と共有」「学校間の連携」「地域生活の基盤づくり」が考えられた.
著者
佐藤 雅彦 浦野 弘 SATO Masahiko URANO Hiroshi
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = BULLETIN OF THE CENTER FOR EDUCATIONAL RESEARCH AND PRACTICE FACULTY OF EDUCATION AND HUMAN STUDIES AKITA UNIVERSITY (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.127-136, 2017-03-31

神山(2006),大城・笹森(2011),佐々木・武田(2012)による既存の調査結果をもとに,通級指導教室および特別支援学級の教育課程編成の現状を調査した.その結果は,学校全体の教育課程の編成に関して加古(2006)が指摘している編成主体の偏り,その弊害と思われる教員の負担増加や孤立が,特別の教育課程の編成および個別の指導計画作成でも認められることを明らかにしている.さらに,特別支援教育担当教員が指摘する課題は,連携や情報交換・共有の不足に関連したものが多いこと,そしてそれらが通級指導教室と特別の教育課程による特別支援学級に共通して見られることを示している.
著者
北島 正人 水野 康弘 有木 永子 浅川 けい 津川 律子 張 賢徳 KITAJIMA Masato MIZUNO Yasuhiro ARIKI Nagako ASAKAWA Kei TSUGAWA Ritsuko CHO Yoshinori
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 (ISSN:13449214)
巻号頁・発行日
no.36, pp.193-203, 2014-05-31

自殺のリスク評価の視点から、風景構成法(LMT)と、2つの心理検査との関連を検討した。研究1では、LMTの「構成の型」「色彩の程度および種類」と、自己評価式抑うつ性尺度(SDS)の総得点および第19項目(SDS_Q19)の希死念慮頻度得点との関連を検討した。研究2では、LMTの「構成の型」「色彩の程度および種類」と、精研式文章完成法テスト(SCT)の刺激語「自殺」および「死」への記述内容との関連を検討した。その結果、研究1では、LMTのアイテム「石」の彩色に「灰色」を用いた者が、「黒色」を使用した者や彩色しなかった者よりもSDS_Q19で高い希死念慮頻度を示した。単色で60%以上という高い出現率を占める「灰色」の選択には、希死念慮頻度の高い者と低い者の双方が含まれていたと推察され、結果の解釈には慎重を要すると考えられた。研究2では、LMTとSCTの2つの刺激語との間に有意な関連は見出されなかった。2つの研究を通じ、今後に向けて主に次のような課題が提出された。先行研究同様、本研究においてもLMTのアイテム彩色が自殺のリスク評価に関与することが示唆されたが、詳細な分析のためには、臨床群データだけでなく健常者データの蓄積が急務と考えられた。また、SCTに関しては、臨床実践に応用できる形で、なおかつ統計上も有用な群分けができる分類法をさらに工夫する必要があると考えられた。
著者
大城 英名 OSHIRO Eimei
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 (ISSN:13449214)
巻号頁・発行日
no.34, pp.71-80, 2012-05-31

本研究では,特別支援学級に在籍する児童の特殊音節(長音・促音・拗音・拗長音)の自覚とその読み書き習得の実態について検討を行った。対象児は,清音のひらがなが読める特別支援学級児童50名(知的障害40名と情緒障害10名).実施したテスト課題は,音節分解・抽出課題,特殊音節を含む語の読み課題,特殊音節を含む語の書き課題,特殊音節を含む語・文の聴取・書取課題,特殊音節を含む語のモデル構成課題,の計5種類.その結果,(1)特殊音節を含む語の読み課題では,どの特殊音節についても80%以上の正反応率であった.それに対して,書き課題では,拗音と長音が75%前後で,促音が63%,拗長音が53%,の正反応率であった.(2)特殊音節を含む語のモデル構成課題では,どの特殊音節についても正反応率が低く,促音が35%,拘音が23%,勘長音が5%,長音が3%,であった.(3)特殊音節の読み書き課題とモデル構成課題との関係では,特殊音節の読み書きができる児童でもモデル構成課題の正反応率は低く30%であった.逆に,特殊音節を含む語のモデル構成課題のできる児童は,その読み書きの課題の正反応率は高く90~100%であった.これらの結果を踏まえて,特殊音節の読み書きが十分でない児童に対しては,特殊音節の音韻的自覚を促す指導が大切であり,その指導法として特殊音節を含む語のモデル構成法が有効であることを指摘した.
著者
松本 奈緒
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 (ISSN:13449214)
巻号頁・発行日
no.34, pp.57-70, 2012-05

本研究では,学習者の認知に着目し,自主的学習を促進するデジタルコンテンツを用いた秋田の盆踊りの学習において,学習者の認知の特徴と変化について明らかにすることを目的とした(対象は大学生).方法については,数学科教育の分野でメタ認知を促進するために用いられたふきだし法(亀岡,1992;1996)を体育科教育分野に応用し,学習者が盆踊りを学習する際の認知を測る調査紙として用い,ふきだしに学習者が記入した自由記述データをカテゴリー化しマッピングすることを行った抽出したデータは全335回答であり,1時間目は84回答,2時間目は52回答,3時間目は84回答,4時間目は115回答であった.1時間目には,動きの特徴を客観的に述べる記述(36回答),DVDで学習した衣装・装束について(8回答)盆踊りの一般的知識について(6回答)の認知記述が多く,2時間目には動きの特徴を客観的に述べる記述(17回答)だけでなく,動きのポイントや特徴を意識する認知記述が(31回答)増えたさらに3時間目,4時間目には動きのポイントや形容詞や動詞などで動きを意識する認知記述(3時間目は48回答,4時間目は72回答)が増え,3時間目よりも4時間目の方が学習者がより詳細な動きの特徴を抽出し意識できていることが明らかになった.このことから,本実践により,学習者の認知カテゴリーは学習が進むにつれて多種になり,動きを客観的に捉えることから,運動の行為者として一人称で運動を捉え,詳細にわたって動きを意識し運動のポイントを整理できるように変化したことが分かった.
著者
松本 奈緒 MATSUMOTO Naho
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = Bulletin of the Center for Educational Research and Practice, Faculty of Education and Human Studies, Akita University (ISSN:13449214)
巻号頁・発行日
no.38, pp.59-66, 2016-03

本研究の目的は創作ダンスの熟練教師指導映像に対する大学院生の認知について明らかにすることである.研究対象者は3 名の大学院生であり,既に中学校,高等学校の保健体育教諭と小学校教諭の免許を持っているが学部でのダンス経験はない者であった.30分の長さの指導映像2 種を観察後,対象者は気づいた点を自由記述し,KJ法にてまとめた.本研究によって,熟練者のダンス指導の映像を見ることにより,大学院生は明確な目標の提示,教材の工夫,様々な学習者への関わり方等の教育学的に成功裏の授業構造について,また,表現につながる手段,多様な動き,認め合い評価等のダンスの特性に合った具体的な方法の2 つの側面で気づくことが確認できた.従って,それまでのダンス経験がほとんどない受講者であっても,熟練者のダンス指導に触れることによってダンスの指導の工夫や教材,場の設定,学習過程,声かけ等様々な事項が学習できたことが明らかとなった.
著者
村松 勝信 藤島 英知 神部 守 藤井 慶博 MURAMATSU Katsunobu FUJISHIMA Hidetomo KANBE Mamoru FUJII Yoshihiro
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = BULLETIN OF THE CENTER FOR EDUCATIONAL RESEARCH AND PRACTICE FACULTY OF EDUCATION AND HUMAN STUDIES AKITA UNIVERSITY (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.159-166, 2017-03-31

本研究では,高等学校定時制課程における「ユニバーサルデザインの視点を取り入れた授業改善」の実践を通して,その有効性と教員の意識の変化を検討した.その結果,教材・教具の工夫や視覚的・聴覚的手掛かりといった授業の改善が図られ,多くの教員が授業の充実を実感していた.また,授業を参観する教員にとっても,授業を観る視点の広がりと観察する力が高まっていた.課題として,本実践の成果を生徒の学力や意識変化で検討していくことがあげられるとともに,今後学校の教育活動全体へ波及させていくことを提起した.
著者
柴田 健 SHIBATA Ken
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 (ISSN:13449214)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.203-212, 2016-03-31

スクールカウンセラーの学校教育への浸透に伴い,学校教育の「心理主義化」が問題となっている.2011年3 月に発生した東日本大震災に伴い,秋田県は多数の被災転校生を受け入れることとなり,これをきっかけに急激な「心理主義化」が進んだ.被災転校生には「心の傷」があるという言説が流布し,学校に緊急スクールカウンセラーが導入され,被災転校生のカウンセリングや教員へのコンサルテーションが行われることとなった.筆者は緊急スクールカウンセラーの一人として,教員へのコンサルテーションを中心に活動した.コンサルテーションを行うに当たっては,「心の傷」言説に与することなく,転校生受け入れの際に教員が行った活動や工夫を明らかにするというインタビュアーの役割を取った.本稿では,3 つのコンサルテーション活動について報告し,社会構成主義的心理療法の観点から考察を行った.
著者
高橋 猛 林 良雄 TAKAHASHI Takeshi HAYASHI Yoshio
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = BULLETIN OF THE CENTER FOR EDUCATIONAL RESEARCH AND PRACTICE FACULTY OF EDUCATION AND HUMAN STUDIES AKITA UNIVERSITY (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.181-192, 2017-03-31

今日,教育の情報化が進められている.1人1台へのハードウェアの環境整備は,海外と比較すると遅れているが,秋田県内でも八峰町や秋田市をはじめとして徐々にその波が広がりつつある.しかし,教育の情報化の目的は単に児童にICTを使わせるためではなく,ICTの特徴を生かして,教科の理解を深めることである.この目的に沿った使い方をするためには個々の教員がICTの特徴を理解し,その効果を最大化することができるよう,十分授業実践する必要がある.本論文では附属小学校で現在行っているICTを活用した授業実践と児童への効果について報告する.実践環境は電子黒板,タブレットPC,無線LANであるが,それに加えて,情報共有が簡単にできる授業支援システムを取り入れた.この授業支援システム(おまかせ教室)はクラウド型のもので,サーバーの管理が不要であり,教員の負担を最小限におさめることができる.ただし,常に外部との通信が生じるので,PCとネット環境にかなり依存することが予想された.そのため,タブレットPCや無線LANの調整とともに,別途光回線を用意することで,支障なく利用できるように整備した.4月から12月まで授業実践を行ったのち,児童へのアンケート調査を行なった.その結果,タブレットPCを使った授業は楽しいと思う児童がほとんどであり,ICT機器を活用して表現する力が身についたこと,児童はみんなの資料(意見)を見るために,授業支援システムは役に立ったと感じたことなど,ICTを活用した授業が児童の「関心・意欲・態度」の向上,「表現力」の向上に寄与し,アクティブ・ラーニングにも有効であろうと思われる知見が得られた."Digitization of education is pushed forward today. Though maintaining environment with one for one falls behind the foreign country, The wave of Digitization of education is spreading through Akita including Happo town and Akita city by little and little. However, the purpose of the digitization of the education is not not to let merely child spend ICT but is to deepen the understanding of the subject by a characteristic of the ICT. To do how to use along this purpose, it is necessary for an individual teacher needs to understand a characteristic of the ICT and to put in lesson practice maximize the effect to maximize the effect. In this paper, we report the school lesson and learning with ICT practicing at elementary school attached to Akita University and the influence of it. The practice environment was an electronic blackboards, tablet PC's, wireless LAN, in addition took in the class support system which information sharing could simplify. This class support system(Omakase-kyoshitu)is the one of the cloud type, and management of a server is unnecessary, and it's possible to put teacher's burden in a minimum. But, data communication with outside the school always formed, so performance depends on the net environment fairly was expected. Therefore we set up tablet PC's and wireless LAN and we maintained it to use it without a trouble by preparing an optical line separately. After having practiced classes from April to December, we performed the questionary survey to children. The following results were obtained: There were a lot of children who thought that the class using the tablet PC was interesting, Children developed an ability to express their opinion, The child felt that they were useful for the class support system to watch the document (opinion) of all. This means that the school lesson and learning with ICT contributs improvement of interest, will, manner and expressive power and It'll be also effective in active learning."
著者
成田 雅樹 NARITA Masaki
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = BULLETIN OF THE CENTER FOR EDUCATIONAL RESEARCH AND PRACTICE FACULTY OF EDUCATION AND HUMAN STUDIES AKITA UNIVERSITY (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.15-24, 2017-03-31

この論文は小学生の言葉の使い間違いを収集し,分析した結果を述べるものである.収集した間違いは158事例であった.分析は学年ごと,間違いが表れている言語単位ごと,間違いの種類ごと,原因の推定ごとに行った.顕著に言えることは概ね以下の通りである.言語単位では,「音・文字」に表れる間違いが最多であり,特に「長音」に関するものが多い.この「音・文字」に表れた間違いの種類は,ほとんどが「欠落」と「錯誤・不使用・不足」である.しかも「錯誤・不使用・不足」は,誤りの種類のなかで最多であった. 原因推定では,「意識希薄」が最多であり,「音・文字」や「語」で「口語表現」になっている誤りが過半数を占めている.この場合の誤りの種類も,すべて「錯誤・不使用・不足」であった.学年別に見ると,すべての学年で「聞き違い」や「不注意」による「音・文字」の誤りが多かった.