著者
南澤 究
出版者
日本土壌微生物学会
雑誌
土と微生物 (ISSN:09122184)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.121-127, 2000
参考文献数
21
被引用文献数
3

土壌細菌は地球レベルの物質循環や植物生育の上で大変重要な役割を果たしており,地球生態系の恒常性の維持に貢献している。本稿では,土着ダイズ根粒菌のDNAフィンガープリントを用いて,遺伝的多様性・風土性・ゲノムがシャッフルされたHRS株の遺伝生態研究について紹介を行った。土着ダイズ根粒菌も含めた土壌中の細菌の生活について細菌遺伝学やゲノム研究の最近の知見を踏まえて,(1)ゲノムの複製系と転写系の衝突,(2)オペロンの乱雑度と挿入配列,(3)非増殖条件による変異の誘発などについて考察を行った。今後,土壌微生物の分野でもゲノム研究,遺伝学分野,環境科学分野と連携し,総合性をもった研究が必要ではないだろうか。

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