著者
坪田 信子
出版者
仁愛大学
雑誌
仁愛大学研究紀要. 人間生活学部篇 (ISSN:21853363)
巻号頁・発行日
no.3, pp.83-95, 2011

歌曲の生命を大きく担っているのは 「詩= ことば」である. 世界各国にはそれぞれの母国語に よる詩に付曲された歌曲があり,わが国ではそれが,日本語の原詩による「日本歌曲」となる. 本研究ではその視点を「歌詞の背景」に置き,「日本歌曲」の原点となった明治以降の学校唱歌 と,* 文部(科学)省小学校学習指導要領音楽科に示されてきた表現(歌唱)分野の「** 共通教 材曲」に焦点を当てて,引き続き探究を進めるものである. 研究(その1)では,明治末期から今 日までの約100 年間,小学校音楽教育の教材となった歌曲において,その不可欠の要素である「歌 詞」はどのように認識され位置してきたかと言う視点から探究をすすめた. その結果「共通教材曲」 には,「日本歌曲」の成立・発展の過程へと受け継がれた「日本の心」と言う抒情性を深く育む源 となった歴史的意義があることが改めて確認された.本研究(その2)では,それらの「共通教材曲」 の「歌詞」は唱歌教育のなかではどのように解釈・指導され世代を超えて受け継がれたのかについ て,その背景の一端を探るものである. * 文部科学省/平成13 年度の中央省庁再編により旧「文部省」と旧「科学技術庁」が統合した名称 ** 共通教材曲/小学校指導要領で学年ごとに歌唱と鑑賞それぞれに示された3 ~ 4 曲の必修指導曲

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