著者
金 瑛
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
no.11, pp.3-14, 2012-05-26

本稿の目的は、アルヴァックスの集合的記憶概念を再考することにある。そこでまず行なったのが、アルヴァックスによる記憶(memoire)と想い出(souvenir)の区別、集合的記憶と歴史の区別を検討することで、集合的記憶を定義し直すことである。集合的記憶は、時間的な連続性の流れとして定義され、言語活動・時間・空間という「枠組み」によって構成される。本稿では、従来あまり注目されてこなかった「環境(milieu)」という概念に着目することで、時間の「枠組み」を支える空間性について論じた。そしてそこでは、ノラの「記憶の場」という概念やモースの贈与論を参照軸に、「環境」と「場」の関係、「場」の変化による忘却の問題を論じた。また「環境」という観点から、個人的記憶と集合的記憶の関係、集合的記憶における忘却と想起についても論じた。本稿の論点は、「環境」が集合的記憶に対してもつ意義を説くことである。

言及状況

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CiNii 論文 -  集合的記憶概念の再考 : アルヴァックスの再評価をめぐって https://t.co/tUaX4QfpeO #CiNii
mémoireとsouvenirの意味を分けるのってアルヴァックス由来なのか? あらゆるフランス語使用者がアルヴァックスにしたがって使い分けているとは思わないけれど。cf:「集合的記憶概念の再考 : アルヴァックスの再評価をめぐって」http://t.co/qWN7bTgC

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