- 著者
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石原 正仁
- 出版者
- 社団法人日本気象学会
- 雑誌
- 天気 (ISSN:05460921)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.7, pp.563-577, 2012-07-31
- 被引用文献数
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1
2008年8月5日に首都圏では多数の積乱雲が発生し,東京都豊島区雑司が谷では局地的大雨による被害が生じた.第1部(石原2012)ではこの日に首都圏で発生した積乱雲群のレーダーエコーの形態を統計的に調べた.この第2部では,この日大雨警報が発せられた地域に発生した積乱雲を対象として,気象庁の3次元レーダーデータを用いて降雨のピークの時刻と量を直前に予測することを試みた.「上空における降水のコア」,「鉛直積算雨水量」,「エコー頂高度」,「雷放電」,「降水セル強度と鉛直積算雨水量の変化」の5つの指標を検討したところ,各積乱雲においてこれらの手法のうちのいくつかには効果が認められたが,効果の程度や有効な手法の組み合わせは降水セルによって異なった.「上空における降水のコア」は雑司が谷に局地的大雨をもたらした積乱雲においては有効であった.