著者
土井 徹平
出版者
社会経済史学会
雑誌
社會經濟史學 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.3-20, 2010-05-25

本稿では,足尾銅山と尾去沢(おさりざわ)鉱山を対象として,1900年代から1910年代における鉱業の労働市場と雇用の特質について考察した。近代の鉱山には,「坑夫」(採鉱夫・支柱夫)の同職集団である「友子(ともこ)」が存在しており,坑夫は友子を通じて同職者の「渡り」(鉱山間での移動)を保障するとともに就職の斡旋を行った。また友子は,内部で技能伝承を行うことで,市場に対し熟練労働力を供給する役割を果たしていた。したがって近代の鉱業の雇用あるいは労働市場の特質を明らかにするためには,友子を介した雇用の実態を解明する必要がある。しかし友子と雇用との関係については研究の蓄積がなく,友子の発達が労働市場に及ぼした影響についても,はっきりした結論が得られていない。このことをふまえ本稿では,友子の運営資料を用いることで,鉱山の雇用の実態を分析した。そして,友子を介した「渡り」や技能伝承の結果,近代の鉱山では労働力の需給バランスが保たれていたこと,そして市場構造に地域的な差異があったことを明らかにした。

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北陸地方から足尾銅山に移住した人たちを調査しています。なぜ、足尾銅山へ移住したのか、わかる資料があるのかお教えください。

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