著者
青木 直子
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.320-330, 2012-09

本研究は,自然場面において子どもがほめられる場面に注目し,子どものほめられる経験の認識と動機づけの関連について検討したものである。研究1では,小学校1〜3年生に対して,ほめられてがんばろうと思ったことをたずねるインタビュー調査を行い,子どもの報告に含まれる要因を整理した。その結果,ほめられた時期・ほめ手・ほめられたことがら・ほめられた活動をするに至った背景・ほめられた活動に対する評価・ほめられ方・感情という7つの要因が見出され,ほめられたことがら・ほめられ方・ほめ手という要因が報告されやすいことが明らかになった。研究2では,子どもにほめられてがんばろうと思ったエピソードをたずね,ほめられて動機づけが高まるとき,そのエピソードにおけるほめられたことがら・ほめられ方・ほめ手の中でもっとも重要であるものを選択させ,その選択理由をたずねた。その結果,ほめられたことがらという要因はその活動の価値を決定するため,動機づけに影響をもたらすこと,ほめ手という要因はほめ手に対する肯定的感情や対人的欲求に差異を生じさせるため,動機づけが変化すること,ほめられ方という要因はその内容やフィードバックの際の口調などによって子どもに自信をもたせるため,動機づけを高めることが示唆された。

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