- 著者
-
中田 恵美
江幡 芳枝
- 出版者
- 国際医療福祉大学
- 雑誌
- 国際医療福祉大学学会誌 (ISSN:21863652)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, no.1, pp.7-18, 2013-01-31
子どもの交通事故死者数の低減に向けて,チャイルドシート(以下CRSと略す)の使用が義務づけされているが,CRSはシートベルトの使用率と比較すると著しく使用率が低い.本研究は2010年8月〜9月に9か月の乳児を持つ母親97名を対象に,CRS 使用の有無とCRSの知識および認識との相関を見た.その結果,知識と使用の有無に相関がみられた項目は,「CRSを着用している時と,着用していない時とでは,それほど死亡率は変わらない(CramerV:0.351)」であった.認識と使用の有無に相関がみられた項目は,「近所に買い物などで出かける程度であればCRSを装着しなくてもかまわない(CramerV:0.399)」,「周りがCRSを装着させていないと,自分もしなくてもよいと感じる(Cramer:0.357)」など3項目であった.これらの結果から母親は正しい知識や認識が十分でなく,都合の良い解釈の元にCRSを使用している状況があると考えられる.妊娠期から母親と深く関わる機会の多い助産師は,出産した子どもの命を守る立場からCRSについての正しい知識や情報を母親や家族に提供する必要がある.