著者
松村 耕平
出版者
国際医療福祉大学
巻号頁・発行日
2016-09-21

平成28年度
著者
森田 耕喜
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
国際医療福祉大学紀要 (ISSN:13424661)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.79-88, 1998-12-25

ハイデッガーの『存在と時間』における「死」の概念の分析が本稿の目的である。「存在の意味への問い」は「現存在」という自らの存在に自らの関わり得る特殊な存在者=人間存在によって遂行される。「世界-内-存在」とあり方で「世界」が「開示」されている「現存在」は、自ら発光する光源、事象が明るみに出される場、人間と「世界」との関係が照射される地平と言える。「世界」の開示性において、常に既にそこへと投げ込まれている「情態性」と、そこで開かれている「可能性」としての「了解」に基づいて、現在と未来という「時間」が浮上する。しかし、「現存在」は自らの様態を「気遣い」ながら、その本来的な可能性を回避し、「死」の「確実性」と不確定性を覆い隠して日常性に埋没し、「頽落」している。これに動揺を与えるのが「不安」であり、その対象は「世界-内-存在」そのものである。「現存在」の「存在」は「全体」として捉えられねばならないが、それは自らの終わりとして「全体」を完結させる極限としての「死」に関係する。「死」は「現存在」にとって「最も固有の、没交渉的で、追い越しえない可能性」としてある。
出版者
国際医療福祉大学
巻号頁・発行日
2015

元資料の権利情報 : CC BY-NC-ND
著者
礒 玲子 飯島 節
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
国際医療福祉大学学会誌 (ISSN:21863652)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.10-20, 2016-03-31

目的:高齢者介護分野における医療機関より在宅への移行時を中心とした多職種・諸機関間連携へのクライアントの参加や意思決定の現状と課題を,連携の展開過程に沿って明らかにする. 対象:医療機関または介護保険事業所に勤務する様々な専門職者と利用者本人・家族の合計23名を対象とした. 方法:クライアントの連携への参加の現状と課題について半構造化面接を行い,グラウンデッド・セオリーアプローチに基づき分析した. 結果:クライアントの連携への参加や意思決定を困難にしている連携の阻害要因として,『連携目的の不一致』,『連携対象についての認識不足』,『情報共有困難』および『レベル・態度・姿勢』の4要因が示され,専門職者とクライアントとの間の情報の非対称が認められた. 結論:クライアントの連携への参加と主体的な意思決定を促すためには,専門職者との間の情報の非対称を克服する取り組みを行うことが最も重要であり,連携におけるクライアントの位置づけや参加について専門職者側の意識を高めてゆくことが必要である.
著者
赤居 正美
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
国際医療福祉大学学会誌 (ISSN:21863652)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.7-12, 2016-08-10
著者
福永 肇
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
国際医療福祉大学紀要 (ISSN:13424661)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.37-44, 2005
著者
片倉 知博 中山 幸 篠永 正道
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
国際医療福祉大学紀要 (ISSN:13424661)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.41-44, 2007-07-31

交通事故などの外傷後に霧視,羞明,視野狭窄,複視,眩暈を訴える症例がある。近年,その原因の一つとして脳神経外科領域で脳脊髄液減少症が注目されるようになった。今回,脳脊髄液減少症に伴う視覚障害がブラッドパッチ治療により改善した1 例を経験したので報告する。症例は31 歳女性。頭部外傷後に起立性頭痛や霧視感,羞明,視野狭窄など多彩な症状を自覚。治療により霧視感の消失と近見視力の改善を認めた。脳脊髄液減少症の眼科的症状は自律神経の機能障害によって起きている可能性が示唆された。
著者
高他 武始 梅原 貞臣 野口 隆志 梅内 拓生
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
国際医療福祉大学紀要 (ISSN:13424661)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.1-11, 2008-01-31

健康施策として一次予防を重視し,セルフメディケーション推進を通じて生活習慣病対策を進めようとする政府の考えのなかで,我々がキープレーヤーと考えるドラッグストア従事者が現在どのような意識で業務を遂行しているのか実態を把握し,どのように近隣住民の健康に寄与しているかを知る目的でアンケート調査を行った。その結果,現状では薬剤師・薬剤師以外の従事者とも近隣住民の健康への寄与に関する認識・実践に関し不十分な状況にあると考えられた。今後地域住民の生活習慣病対策を現実化していく健康管理システム構築のためには,ドラッグストア側の対応としてドラッグストア従事者における政府健康政策の理解と生活習慣病関連事項の知識習得,地域住民から信頼される身近な医療従事者としての意識の向上,さらに,改正薬事法施行による新たな薬の専門家(新資格者)の制度化を踏まえた従事者の時間的な余裕づくり,を念頭に入れ,ドラッグストアがセルフメディケーション推進の中心的な役割を果たしていく資質を確保していくことが必要と考えられた。
著者
田頭 勝之
出版者
国際医療福祉大学
巻号頁・発行日
2016-03-09

平成27年度
著者
松田 真由美
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

申請者はこれまでに成人女性を対象に腋窩・鼠径部の冷却実験を行った。被験者はベッド上で仰臥位安静とした。氷嚢を用いて腋窩・鼠径部の冷却を60分間行うと、鼓膜温、平均血圧が上昇する傾向を示し、また、寒さによる不快感が生じた。寒冷刺激に対して、皮膚血流の減少(熱放散の抑制)、エネルギー代謝の亢進(熱産生の亢進)が起こり、深部体温が上昇する傾向になったものと考えられる。冷却により血圧が上昇傾向にあることから、循環器系への負担が増えることも考えられる。発熱時には平熱時よりも体温を上昇させるための体温調節反応が強くなると考えられ、冷却による体温・血圧の上昇や不快感は平熱時よりも強くなる可能性も考えられる。発熱時に行うケアとして、腋窩・鼠径部冷却の有益性を再考する必要があることが示唆された。
著者
石井 大輔 齋藤 淳美 宮川 和也 辻 稔 武田 弘志
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
国際医療福祉大学学会誌 (ISSN:21863652)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.66-74, 2016-03-31

がん患者の代表的な身体的苦痛である慢性疼痛が,患者の精神症状を増悪することが懸念されている.「痛み」の伝達経路は,情動調節に重要な脳部位である帯状回や扁桃体に直接的または間接的に入力しているため,痛み刺激自体がストレスへの対処(ストレスコーピング)に影響を及ぼす可能性が示唆される.本研究では,慢性疼痛がストレスコーピングに及ぼす影響について,マウスの強制水泳試験を用いて行動学的に検討した.その結果,炎症性慢性疼痛は,ストレスコーピングに影響を及ぼさなかった.一方,神経障害性慢性疼痛は,強制水泳試験における無動時間の短縮,すなわち,ストレス刺激に対する受動的コーピングの障害を惹起した.なお,この条件下において,オープンフィールド試験における探索行動およびロータロッド試験における運動協調性には特筆すべき変化は認められなかった.また,神経障害性急性疼痛は,ストレスコーピングに影響を及ぼさなかった.これらの所見から,神経障害性慢性疼痛は,ストレス刺激に対する受動的コーピングに影響を及ぼすことが考えられる.