著者
藤田 比左子
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
奈良県立医科大学医学部看護学科紀要 (ISSN:13493884)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.15-24, 2010-03-31

患者の個人情報の安全性に関する認識と電子カルテの活用性に関する認識について明らかにすることを目的とし,全国の医師1,000人を対象として,実態調査を実施した.調査結果より,患者の個人情報の安全性に関する認識においては,臨床経験年数と電子カルテの稼動状況が関連していた.電子カルテの活用性においては,「明確な診療プロセスへの活用」「コミュニケーション・ツールとしての活用」及び「医療の発展への貢献」についての認識が高く,また,3つの全ての要因において,年齢の高い医師の認識が高いことが明らかとなった.一方で,電子カルテが未稼働であるとする医師では,「医療の発展への貢献」に対する認識において,年齢によるばらつきが認められた.以上より,基本的な情報の安全性への基礎的教育及び電子カルテの操作と運用に関する臨床における早期からのトレーニングの重要性,日常の診療活動に活用できる電子カルテの機能の明確化が急務であることが示唆された.

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