著者
緒方 奈保子 車谷 典男 上田 哲生 西 智
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

高齢者の眼科健診「藤原京EYEスタディ」を行い2868人(男性1513 人、平均年齢76.3±4.9)が受診した。年齢とともに視力が低下していたが、平均矯正視力はlogMAR0.048で、視力低下(logMAR>0.2)は6.6%であった。白内障術後は19.5%。認知機能検査MMSE平均は27.3±2.3、認知機能低下あり(23点以下)は5.7%で、年齢、視力低下、学歴と関連を認めた。加齢黄斑変性(AMD)患者66例における血漿PEDFは10.2±3.14μg/mlとコントロール群8.23±1.88μg/mlより高く(p<0.01)、PEDFがAMDの発症に関与している可能性が示唆された。
著者
鳥本 一匡 國安 弘基 藤本 清秀 三宅 牧人
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

【実験Ⅰ】目標は「膀胱における尿再吸収を制御する生理的条件の検討」であった。①「尿組成の影響」:生理的浸透圧を大きく超える塩化ナトリウム溶液やブドウ糖液は、再吸収を促進しなかった、②膀胱壁伸展の影響:機能的容量以上で再吸収が始まり、約200%までは容量依存的に吸収量が増加した、③体水分の影響:検討できなかった。結果は予想通りであり、Na+イオン吸収量に依存して膀胱腔内の液量は減少した。【実験Ⅱ】目標は「膀胱に発現するclaudinサブタイプの確認」であった。生理食塩液による膀胱伸展により、claudin-3, -6, -11の発現が増加することを確認した。また、追加実験において同様の刺激により、aquaporin-2の発現が増加することを確認した。さらに、RNA干渉によりaquaporin-2の発現を抑制することで、膀胱での再吸収が抑制されることを突き止めた。【Neurourology and Urodynamics受理済み論文の詳細】ラット膀胱を生理食塩液 1.0mLで3時間伸展すると、aquaporin-2の発現が大きく促進されてNaイオンとともに水が膀胱壁より吸収される。aquaporin-2の発現を抑制すると、水およびNaイオンの吸収量が大きく減少する。aquaporin-2は主に尿路上皮に発現しており、組織学的にも再吸収に関与していると考えて矛盾しない。わずか3時間の過程で再吸収に関わる遺伝子および蛋白の発現変化は予想していなかったことであり、再吸収機構を検証する上で非常に興味深い知見である。
著者
岩野 正之 斎藤 能彦 赤井 靖宏
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

われわれは、間質線維化の進展に尿細管上皮細胞のfibroblast specific protein 1(FSP1)陽性線維芽細胞への形質変異(EMT)が重要な役割を果たすことを明らかにしている。また一方では、慢性虚血による尿細管上皮細胞の低酸素暴露が間質線維化の進展に関与すると考えられている。本研究で、われわれは低酸素応答で中心的な役割を果たすことが知られているhypoxia inducible factor-1α(HIF-1α)がEMTの協力な誘導因子であることを、初代近位尿細管上皮細胞を用いた実験系で明らかにし、HIF-1α阻害薬であるYC-1に初代近位尿細管上皮細胞におけるEMTの抑制効果があることを示した。また、Cre-loxPシステムを用いてHIF-1α遺伝子を尿細管上皮細胞特異的にターゲッティングした遺伝子改変マウスにおいては、一側尿管閉塞(UUO)マウスで誘導される間質線維化の進展が抑制されることを明らかにした。さらに、尿管に、連日30μ/g・mouseのYC-1を腹腔内投与することで、尿管閉塞後8日目のUUOマウスにおけるFSP1陽性細胞数は有意に現象し、タイプ1コラーゲン染色で評価した間質線維化面積も有意に減少することを示した。以上の結果より、慢性低酸素刺激で誘導された尿細管上皮細胞におけるHIF-1αの発現が、EMTによる間質線維化の進展に関与すること、およびHIF-1α阻害薬が間質線維化の新しい治療薬となる可能性が示された。
著者
粕田 承吾 勇井 克也
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

スズラン は、主に観賞用として栽培されている。しかし、野山に自生しているスズランも多くみられ、食用のギョウジャニンニクと外観が似ていることから、誤食による食中毒が現代でも後を絶たない。スズラン毒の主成分はconvallatoxin (CTX)と呼ばれる強心配糖体の一種である。摂取した場合、嘔吐、頭痛、眩暈、心不全、血圧低下、心臓麻痺などの症状を起こし、重症の場合は死に至る。一方、CTXによる中毒では出血傾向を示すことが経験的に知られているが、その機序は現在までのところ、まったく不明である。本研究では、CTXが血液凝固系に対する影響を検討し、その作用機序を明らかにする。
著者
細井 裕司 添田 喜治 西村 忠己 下倉 良太 松井 淑恵 中川 誠司 高木 悠哉
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

我々人間の聴覚では 20 kHz 以上の超音波領域の音は聞こえないが、超音波振動として骨導に与えると音知覚が得られる(骨導超音波)。さらにこの骨導超音波は、音が全く聞こえない最重度難聴者でも聴取可能である。この現象を利用し、我々は最重度難聴者に音知覚を与える骨導超音波補聴器の開発を行っている。本研究では(1)未だ知られていない超音波聴覚メカニズムの解明、(2)骨導超音波補聴器の実用化研究という二つの課題に取り組んできた。そしてその研究成果から、骨導超音波の末梢の知覚器官は蝸牛の基底回転に存在すること、またそれは変調された可聴音ではなく超音波自体を聴取していること、その際外有毛細胞が関与している可能性は低いことなど、聴覚路上の末梢・中枢での超音波聴覚メカニズムが明らかになってきた。また語音で変調した骨導超音波のプロソディ(抑揚)が弁別可能であること、リハビリテーションによって言葉の聞き取りが改善されることなどの実用化研究も大きく進展した。
著者
山中 敏彰 和田 佳郎
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

姿勢や歩行機能の障害が存続する難治化した慢性平衡障害者に対して前庭覚代行装(Vestibular Substitution Tongue Device: VSTD)を用いるリハビリテーション治療を試みて、長期効果を検討した。期間延長の理由により、2018年度は症例確保が進まず、1例のみの追加で合計11例に対して中期の評価を行なった。頭位の傾きを感知する加速度計からの情報を電気信号に変換して舌に設置したインタフェースに伝達する、VSTDのシステムを使用して、バランストレーニングを8週間行った。評価項目として、重心動揺検査から得られる30秒間の動揺軌跡長と歩行条件から点数化した歩行機能視標(30点満点)を用いた。重心動揺総軌長は237.5 ± 22.4 cm/30 s から 85.4 ± 15.4 cm/30 s に、歩行機能スコアは、13.5 ± 1.5から23.5± 1.6にそれぞれ変化し 両者ともに治療直後より著明な改善を示した。VSTDを取り外した後の効果を追跡観察したところ、12か月以上の時点で、重心動揺総軌長88.6± 18.9、歩行機能スコアは23.8±3.0となり、改善は、最短12か月でほぼ変動なく、効果は維持された。現在は、短期間ではあるがトレーニング効果は持ち越され維持できる傾向が示されている。
著者
久保 慎一郎
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)は日本における保険診療の悉皆データであり、世界最大級の健康関連データベースである。本研究は、データベースと疫学と臨床医学の融合により、NDBを用いた難病患者数の新しい推計方法を確立する。NDBにおける難病患者の定義づけを行い、難病患者における治療実態を数万の傷病・医薬品・診療行為面から分析することで、我が国の保険診療の悉皆データベースに基づき、難病患者の医療の全体像を明らかにする。集計方法を広く伝達し、我が国の難病患者の実態を示す基礎資料となることを目的としている。
著者
小林 千余子 蛭田 千鶴江 鈴木 隆仁
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

刺胞動物門ヒドロ虫綱に属するマミズクラゲは、淡水棲でありながらクラゲを放出する生物である。日本全国で夏場にマミズクラゲ成熟個体の発生が報道されるが、一つの池で一性別だけしか確認されないことが多く、その生物伝播や性決定に関して謎多き生物である。申請者は 7年前にマミズクラゲポリプを入手し、1個体から個体数を増やすことに成功し、さらに温度変化によるクラゲ芽形成の条件を確立した。そこで本研究では、実験室内で有性生殖世代を再現し(性成熟を引き起こし)、さらに核型解析による染色体情報やゲノム情報を得ることで、マミズクラゲにおける性決定が、遺伝的要因なのか環境的要因なのかの決着を付けることを目的として研究している。H28年度はワムシを餌に用いた幼クラゲからの性成熟に挑戦した。その結果、ワムシを与える頻度や飼育の水深等を工夫することで、初めてメス池から採集したポリプから分化した幼クラゲの生殖腺が発達し、卵を持つ卵巣へと成熟した。H29年度は オス池から採集したポリプから分化した幼クラゲをワムシを用いて飼育することにより、精子を持つ精巣が発生してくることを確認した。また、メス池から採集したポリプから分化した幼クラゲと、オス池から採集したポリプから分化した幼クラゲを、同じ飼育水槽で、ワムシという同一の餌の条件下で飼育しても雌雄異なる性が発達したことから、マミズクラゲの性はポリプの世代で決まっている、つまり遺伝的要因である可能性が大きく示唆された。
著者
中村 ふくみ 赤尾 信明
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

多彩な臨床像を呈するトキソカラ症について、臨床的特徴の解析とその病態に関連する因子について検討の検討を試みた。しかし感染源となる牛レバーの生食が禁止された影響か、症例の登録はわずか1例に留まった。一方でトキソカラ症類似の慢性好酸球性肺炎の患者を診断し、新たな鑑別疾患の存在が明らかとなった。また従来使用していたToxocaraCHEKが製造中止となり、同等あるいはそれ以上の感度と特異性を持つ診断キットの開発が必要となった。新たにToxocaraICAを試作し、ToxocaraCHEKと同等の感度を有していることを確認した。
著者
御輿 久美子 赤松 万里
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

この調査は日本ではじめての全国的なアカデミック・ハラスメントの実態調査であり、当初の計画のとおり、平成14年度にアンケート調査を実施し、平成15年度に集計および解析をおこない、平成16年度には結果を冊子としてまとめ、NPOアカデミック・ハラスメントをなくすネットワーク(http://www.naah.jp)の協力を得て大阪(平成16年5月15日)、東京(平成16年5月29日)、札幌(平成16年6月5日)において調査結果の報告をおこなった。当該実態調査研究においては、大学に対するアンケート調査と教員個人に対するアンケート調査の2種類の調査をおこなった。回収率は、大学に対する調査では51%(回答数114大学)、教員に対する調査では回答率38%(回答者数931人)であった。大学に対するアンケート調査においては、ほとんどの大学が性的でないハラスメントに関しては、相談窓口もなく防止体制も整備されていないこと、25%にあたる大学において性的でないハラスメントに関する紛争が発生していることが明らかになった。全国の大学に勤務する助教授、常勤講師、助手の教員層を対象に無作為抽出したアンケート調査では、アカデミック・ハラスメントに関する項目すべてに数%〜20%の該当者があり、全分野共通の12項目のうち8項目について、女性の方が有意に高率であった。また、回答者の4割にあたる人が、周囲にアカデミック・ハラスメントを受けていた人がいることを知っており、その総数は750人に達しており、構成層ではより下位の層が被害を受けやすく、また、分野によって発生している事象が異なることが示唆された。さらに、このアンケート結果から、アカデミック・ハラスメント環境指標算出し、アカデミック・ハラスメントがおこりやすい環境を把握する方法を考案した。
著者
西村 忠己
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

骨導超音波知覚を解明するために、同様に周波数の高い高周波気導可聴音の知覚と比較検討することが重要であると思われる。その理由として骨導超音波が知覚できるのは、骨伝導のため、内耳に達したときに生体の非線形性により可聴音が生じるため聞こえているのではないかという説があるからである。本年度の検討では骨導超音波の聴取閾値を気導音の聴取閾値との相関関係を聴力正常者及び難聴者で求めた。仮に特定の周波数の可聴音が生じているとすると、骨導超音波の聴取閾値はその可聴音の聴取閾値と強い相関を示すはずである。つまり非線形性により高周波可聴音が生じているとするとその聴取閾値と強い相関関係を認めると推測される。実際に測定を行うと、骨導超音波の聴取閾値は高周波可聴音の聴取閾値と強い相関関係を示さず、また相関係数は、ピッチが明らかに低い低周波数の可聴音との相関係数よりも低い値を示した。このことから骨導超音波の知覚はピッチが高周波可聴音と似ているにもかかわらず、その知覚メカニズムは異なることが示された。また補聴システムに関する検討では、言語音を変調する方式についてAMとFM変調の優位性について脳磁図を用いて検討した。その結果AM変調と比較してFM変調の方が周波数弁別能の点について劣ることがわかった。しかしある程度の弁別が可能であることからFM変調を補助的に使用していくことが可能であると思われた。なお骨導超音波の臨床応用に関しては難聴者においても一定の効果が認められたが、症例数の問題や骨導超音波補聴器そのものが試行錯誤の段階であることも有りその効果の定量は困難であった。
著者
中井 靖 藤本 清秀 三宅 牧人 堀 俊太 森澤 洋介 大西 小百合
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

膀胱癌細胞を鉄で処理すると癌細胞が増殖し、5-アミノレブリン酸(ALA)で処理すると細胞増殖が抑制された。ALAを投与すると、膀胱癌細胞のミトコンドリアにおける鉄の発現が低下し、さらに、膀胱癌細胞内のフェリチン(鉄の蓄積)の発現が低下した。これは、膀胱癌細胞が増殖するために必要な鉄が、ALAによってミトコンドリア内で利用され膀胱癌細胞内での鉄が減少し、膀胱癌細胞の増殖が抑制される可能性が示された。このことはALAが新たな膀胱癌に対する治療薬となる可能性が示唆された。
著者
堀井 謹子
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

動物は、新奇物体に遭遇した際、その危険性や情報を、リスクアセスメントと呼ばれる行動を介して得ようとする。今回、マウスを用いた実験により、視床下部のPeFAと呼ばれる領域の神経細胞が、新奇物体に対するリスクアセスメントや、新奇物体に対する積極的防御行動とされる埋める行動(burying)の制御に関与することが明らかになった。burying行動の亢進が認められる自閉症モデルマウスBTBRを用いて、新奇物体試験を行った結果、物体近傍の滞在時間におけるリスクアセスメント行動の割合が低下していることが明らかになった。また、PeFA神経細胞の投射先である中隔の構造もコントロールマウスと異なっていた。
著者
山口 直子
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2017

【研究目的】CD38遺伝子はオキシトシン合成ニューロンや下垂体後葉からのオキシトシン分泌に関与している。オキシトシンは子宮収縮や母乳分泌に必須のホルモンである。CD38遺伝子多型(4693C>T)を有する遺伝子組換えを行ったCOS-7細胞は、CD38関連酵素活性が50%に低下することが報告されている。そこで総合周産期母子センターに入院した妊婦と児のCD38遺伝子多型(4693C>T)を検索し、遺伝子多型の有無による母児の臨床的背景を明らかにし、遺伝的要因から病的新生児を出生する可能性のあるハイリスク妊婦の診断と治療、および児の予後を明らかすることで、母児の予後の改善に繋げる。【研究方法】当院総合周産期母子医療センターに入院した母親と児の末梢血液リンパ球から核酸(ゲノムDNA)を抽出し、PCR法によりCD38遺伝子を増幅後、RFLP法(Restriction Fragment Length Polymorphism)により、CD38遺伝子多型(4693C>T)を解析するとともに、SNP出現率とSNPを有する母児の臨床的背景を検討する。【研究結果】奈良医大に入院した母子で250名について、CD38のSNP(rs1800561(4693C>T) : R140W)の検出数は、T/C : 16名、T/T : 1名、C/C : 233件であった。すなわち、CD38遺伝子多型頻度は、0.068であった。【考察】一般人のCD38遺伝子多型頻度は、0.003~0.035と報告されている。今回の検討で母子センターに入院する母児は、CD38遺伝子多型(4693C>T)の頻度は一般人よりも有意に高かった。CD38遺伝子多型(4693C>T)が、母子センターに入院する母児の遺伝学的要因の一つと考えられた。
著者
御興 久美子 赤松 万里 内田 由理子 土家 琢磨 吉野 太郎
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

アカデミック・ハラスメントが発生しうる危険性を組織内で予知し、事前に対策を講じることができるようにとの目的で、環境評価基準の策定をおこなった。評価・点検項目のうち、大半の大学で未整備のアカデミック・ハラスメントおよびパワー・ハラスメント防止対応ガイドラインおよび相談窓口設置運用規程について、基準案を策定した。
著者
小林 浩 吉田 昭三 春田 祥司 重富 洋志 吉澤 順子 野口 武俊
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

子宮内膜症からの癌化機序として遺伝子不安定性等を検討した。繰り返す月経血の逆流による酸化ストレスにより、子宮内膜症自体に遺伝子変異が生じており、脱落膜化機能に関連した遺伝子群がメチル化され発現低下していた。これはすでに子宮内膜症患者の正所子宮内膜においてもその発現変化を確認できた。毎月おこる月経血に含まれるヘモグロビンによるヘムや鉄により酸化ストレスによりG→T変異を起こし遺伝子変異が惹起された。元来胎児期から子宮内膜に遺伝子変異を有していると推定された女性が、生後に繰り返す出血により広範囲な遺伝子変異が発生し、鉄による酸化ストレスの影響を受けて子宮内膜症から発がんする機序を検討した。