- 著者
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森谷 峰雄
- 出版者
- 佛教大学
- 雑誌
- 文学部論集 (ISSN:09189416)
- 巻号頁・発行日
- vol.97, pp.31-46, 2013-03-01
法然は、讃岐滞留に三つの福という名のつく寺-清福寺、真福寺、生福寺-を使って伝道したという謂れがある。しかも、夫々の間隔は、数百メートルであるので、拡声機もない当時に、これらの寺を同時に使用したとは、考え難く、又、時間を別にして、使用したとしても、近隣の故に、それほどの必要性はなかったと思われる。それでは、なぜ法然はこれら三福寺にかかわったのか、という疑問に出会う。それで、謎の三福寺とタイトルにしたのである。それは、法然がこれらの寺を建立したのではなく、当時すでに三福寺は建立されていて、それを法然が伝道に使用した、と考える。