- 著者
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甘 長青
Changqing Gan
九州情報大学 経営情報学部 経営情報学科
- 出版者
- 九州情報大学
- 雑誌
- 九州情報大学研究論集 (ISSN:13492780)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, pp.29-40, 2013-03
この頃、中国経済の先行きに内需と輸出の両面で不安が広がっている。不公平な富の分配や、貧弱な社会保障による国民の将来不安が消費拡大を妨げる一方で、政府債務問題に起因する欧米経済の不振が中国の対外輸出にブレーキを掛けている。また無人島を巡る日本との緊張が続き、外資の生産拠点が東南アジアなどに移る動きが加速すれば、雇用や消費にも影響が出かねない。成長減速傾向が鮮明になったことを受け、中国当局は金融緩和やインフラ投資のスピード認可など景気の下支えに動き出したが、地方政府絡みの不良債務が再び増加に転じる恐れもある。長期化の様相を見せる欧米債務問題は中国経済に2、3次的な影響を及ぼした場合、かつて同国の新華社が皮肉するところの「財政赤字中毒症を患ったように見える」アメリカを始めとする西側諸国と一線を画することができるのか。本稿では、欧米の債務問題は長期化する中で、中国政府の財政リスクを考察してみる。