著者
竹石 洋介 Yousuke Takeishi 九州情報大学 経営情報学部 経営情報学科
巻号頁・発行日
vol.14, pp.75-84,

本研究は、日本の「伝統」を教えるための「相撲の教材研究」のひとつの試みである。江戸時代後半から衰退し始め、近代日本においてその存続を危ぶまれた相撲は、「国内に向けたナショナリズム」と「国外に向けての倫理主義」を前面に押し出すことで、近代日本の「国技」として存続し発展してきた。その際、近代相撲にはじめて現れた「天覧試合」「国技館」「品位・礼節」などは、「創られた伝統」として「内に向けたナショナリズム」と「外に向けての倫理主義」を象徴するものだったのである。つまり、相撲における「品位・礼節」は、近代になって発明された「伝統」に過ぎず、それを教える意義は、少なくとも、「伝統」の教育としてではない。では、学校体育で教えるべき相撲の「伝統」とは如何なるものか。「身体」に焦点化しながら考察する。
著者
野田 富男 Tomio Noda 九州情報大学 経営情報学部 経営情報学科
出版者
九州情報大学
雑誌
九州情報大学研究論集 (ISSN:13492780)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.25-38, 2012-03

わが国の航空機産業は、陸海軍の主導によりその発展を遂げた。このことは日本だけでなく第一次世界大戦で初めて飛行機が航空兵力として登場し、有効性を世界中に認識せしめた時から、同様な現象がヨーロッパの先進国間でも生じていた。大戦後、飛行機の研究・開発競争はフランス・ドイツ・イギリスなどの国々を中心に展開され、僅か10年の間に目覚しい進化を遂げていった。飛行機の開発後進国であったわが国では、技術に詳しい陸海軍関係者を通してヨーロッパやアメリカにおける最新の情報が航空機メーカーにもたらされていた。1920年以降、そうした情報を基礎にしてエンジン・機体の模倣と改良を繰り返しながら、20年間の研究努力を重ねて独自の技術を確立するに至った。その象徴がゼロ戦であり、そうした技術開発の蓄積により多くの優れた陸海軍機が作り出されて行くことになった。本稿では、陸海軍航空技術廠と民間飛行機メーカーにおける技術開発のプロセスを追うとともに、実戦に参加した多くのパイロットを養成した陸海軍飛行学校の内容についても検討を加えた。
著者
甘 長青 Changqing Gan 九州情報大学 経営情報学部 経営情報学科
出版者
九州情報大学
雑誌
九州情報大学研究論集 (ISSN:13492780)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.29-40, 2013-03

この頃、中国経済の先行きに内需と輸出の両面で不安が広がっている。不公平な富の分配や、貧弱な社会保障による国民の将来不安が消費拡大を妨げる一方で、政府債務問題に起因する欧米経済の不振が中国の対外輸出にブレーキを掛けている。また無人島を巡る日本との緊張が続き、外資の生産拠点が東南アジアなどに移る動きが加速すれば、雇用や消費にも影響が出かねない。成長減速傾向が鮮明になったことを受け、中国当局は金融緩和やインフラ投資のスピード認可など景気の下支えに動き出したが、地方政府絡みの不良債務が再び増加に転じる恐れもある。長期化の様相を見せる欧米債務問題は中国経済に2、3次的な影響を及ぼした場合、かつて同国の新華社が皮肉するところの「財政赤字中毒症を患ったように見える」アメリカを始めとする西側諸国と一線を画することができるのか。本稿では、欧米の債務問題は長期化する中で、中国政府の財政リスクを考察してみる。
著者
甘 長青 Changqing Gan 九州情報大学 経営情報学部 経営情報学科
出版者
九州情報大学
雑誌
九州情報大学研究論集 (ISSN:13492780)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-12, 2014-03

中国では、1994年に導入された「分税制」と呼ばれる基本的な税財政制度の枠組みの中で、国家権益の保護やマクロ・コントロール機能を持つ税目は中央税、経済発展に直接関わる主要税目は共有税、地方の徴収管理に適する税目は地方税、と位置付けられている。しかし、その後、中央も地方も分税の本旨をそっちのけに財源を奪い合ってきた。中央や省政府は自らの財政収入を増加させるため、様々な手管を弄してきたことも判明した。結果的に、本来政府間で税目を分けるはずの分税制が変容し、共有税化が加速度的に進んでいる。歯止めかからぬ共有税化の動きには、分税制を共有税が支えると言う皮肉さえ感じられる。分税制の導入から二十年間の歳月を経た、現在の共有税システムについて言えば、94年当時と比べて有利な扱いを獲得したのは、中央や省のような上位政府層である。羊頭狗肉の現行分税制を改め、本物に近付けるための取り組みは待ったなしと言えよう。
著者
桑野 裕文 Hirofumi Kuwano 九州情報大学 経営情報学部 経営情報学科
巻号頁・発行日
vol.15, pp.99-105,

運動部活動は学校教育の一環として、またスポ-ツ享受の場として、その価値は大きい。しかし、勝利至上主義、過熱化、スポ-ツ障害、事故と安全管理、教師の負担、など問題が山積しており、その諸問題を解決すべく保健体育審議会答申(1997年)やスポ-ツ振興基本計画(2000年)では「運動部の運営活動改善」が提起されている。一方学校現場では、少子化の影響もあり休部・廃部の話を耳にする。休部・廃部は入学後入りたい運動部がなく、これまで続けてきたスポ-ツを続けられなくなる子どもを生み出している。この問題に歯止めをかける一手として、今注目を浴びているのが合同チ-ムである。合同チ-ムは、運動部活動の最大の魅力「大会参加」への道を開くものとして子どもたちにとっては良報である。しかし、大会参加にはさまざまな条件が付けられている。また大会には、中体連・高体連主催、競技団体主催、民間の冠大会などがあり、それぞれに規定がある。そしてその規定は統一されたものではなく戸惑いもある。本稿では、中体連・高体連規定をベ-スに合同チ-ムの参加規定を検討し、運動部改革の主体的な取り組みの第一歩とする。
著者
竹石 洋介 Yousuke Takeishi 九州情報大学 経営情報学部 経営情報学科
出版者
九州情報大学
雑誌
九州情報大学研究論集 (ISSN:13492780)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.75-84, 2012-03

本研究は、日本の「伝統」を教えるための「相撲の教材研究」のひとつの試みである。江戸時代後半から衰退し始め、近代日本においてその存続を危ぶまれた相撲は、「国内に向けたナショナリズム」と「国外に向けての倫理主義」を前面に押し出すことで、近代日本の「国技」として存続し発展してきた。その際、近代相撲にはじめて現れた「天覧試合」「国技館」「品位・礼節」などは、「創られた伝統」として「内に向けたナショナリズム」と「外に向けての倫理主義」を象徴するものだったのである。つまり、相撲における「品位・礼節」は、近代になって発明された「伝統」に過ぎず、それを教える意義は、少なくとも、「伝統」の教育としてではない。では、学校体育で教えるべき相撲の「伝統」とは如何なるものか。「身体」に焦点化しながら考察する。
著者
全 彰煥 Chang Hwan Jeon 九州情報大学 経営情報学部 経営情報学科
出版者
九州情報大学
雑誌
九州情報大学研究論集 (ISSN:13492780)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.63-74,

本稿は、司馬遼太郎氏の朝鮮(韓国)関連紀行文の3 部作 - 「韓のくに紀行」「耽羅紀行」「壱岐・対馬の道」- 研究の一環であって、朝鮮関係の表現を中心に司馬氏の朝鮮認識について探ってみるのに目的がある。その内容は、1) 日本神道の原型は対馬にあり、対馬の古神道は朝鮮に定着した古代大陸信仰の影響を受けていたと見ていること 2) 「遣新羅使」の存在確認と単発性・無成果であった役割の分析 3) 豊臣の朝鮮出兵の無謀さと日韓合併の間違いの指摘 4) 中西氏の山上憶良の百済流民説への賛同 5) 古代朝鮮半島の文字(イドゥ等)が存在していないことへの残念な遺憾表明 6) 元・高麗連合軍の日本侵略過程説明 7) 朝鮮儒教文化の前近代性と閉鎖的弊害の指摘等である。このような内容において、 1) 日本の古神道の原型が対馬 ⇒ 朝鮮半島 ⇒ 大陸北部の経由であると主張している司馬氏の立場はいつも一貫している。 2) 「遣新羅史」に関する言及は、その歴史的存在自体がほとんど知られていない韓国側としては意外であるが、統一新羅の華やかな発展とは別に、日本側に積極的外交政策と国際感覚があったのを反証していると考えられる。 3) 豊臣の朝鮮出兵と日韓合併について、司馬氏は否定的批判の立場を堅持している。 4) 中西氏の主張を引用した山上憶良の百済流民説に対して賛同している。 5) 古代朝鮮の文字が不明であることに遺憾の意を表している。 6) 高麗末期は日本の倭寇勢力に蹂躙されて滅亡への決定打を受けていたことに対する司馬氏の認識は見当たらない。 7) 朝鮮儒教に対して否定的認識をもっていたのが分かる。
著者
秋吉 浩志 Koji Akiyoshi 九州情報大学 経営情報学部 経営情報学科
出版者
九州情報大学
雑誌
九州情報大学研究論集 (ISSN:13492780)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.47-53,

現代の大学教育において、すでに学力のみを問うような大学教育は求められておらず、社会人基礎力、ならびに入社後の人材を育成する即戦力的な人材育成までもが大学のような高等教育機関には望まれる時代に突入している。そこで、九州情報大学のマーケティングゼミナールにおいて「産学連携型ゼミナール」の運営を通じてどのように学生を、学力も含めて、まず、社会人基礎力を養成する試みについて紹介したい。その中で重要なことは一般的なインターンシップのような社会人基礎力、応用力等を養成するだけでなく、産学連携のもと、本学のマーケティングゼミナールにおける企業や団体、組織との産学連携「ソーシャルメディアミックス事業」での試みを紹介し、産学連携事業型としてのゼミナール活動のなかで社会人力と学力を同時に養成をする重要性を主張したい。