著者
辻本 惠 伊村 智
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.137-150, 2013-03-29

2009 年2 月15 日から23 日にかけて,オーストラリア南極局(AAD: Australian Antarctic Division,以下同様)で取り組まれている外来種持ち込み防止対策に関する調査を行った.(1)機材の管理,(2)装備品の管理,(3)積荷の管理,(4)観測隊員への教育の4 項目について施設見学やインタビューを行い,現場の状況と外来種持ち込み防止対策システムの全容を把握した.本調査により,AADでは南極における観測・設営活動に伴う外来種持ち込みの危険性を強く認識し,機材や装備品,積荷の管理から観測隊員への教育まで,細部にわたり包括的な外来種持ち込み防止対策を講じていることが明らかとなった.特にAAD で徹底されていた職員や観測隊員への教育活動は,我が国の南極観測事業においても極めて有効な手段であると考えられる.本調査結果を参考にした組織的な外来種持ち込み防止対策の立案により,昭和基地周辺の貴重な生態系の保全につながることが望まれる.

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