著者
竹村 朋子
出版者
聖泉大学
雑誌
聖泉論叢 (ISSN:13434365)
巻号頁・発行日
no.19, pp.77-90, 2011

今日、米国におけるジャーナリズムは経営および報道の質において衰退を続けている。その最も大きな要因は、メディアの過度な商業化にある。1970年代後半からメディアの商業化が加速したことで、米ジャーナリズムはより安価なニュースを制作し、より多くの利益を得るというビジネス・モデルへ傾いていった。ニュース・ルームへの投資が削減される中で、調査報道は最も予算や規模が縮小している部門のひとつである。近年、非営利のオンライン調査報道機関が設立され始めている。非営利機関と既存の商業メディアが連携することで、非営利機関が行った調査報道を商業メディアが記事として伝えるという新たな情報発信の流れが生まれた。本稿では、2007年に設立され、2010年、2011年と2年連続でピューリッツァー賞を受賞したProPublicaを取り上げ、米国の新たなジャーナリズムの流れを検討する。ProPublica の運営において最も大きな課題は、非営利の形態を続けるために安定的な資金源を獲得することである。資金の安定化こそ、非営利メディア組織が質の高いジャーナリズムを維持・提供することの源になると考える。

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