著者
竹村 朋子
出版者
聖泉大学
雑誌
聖泉論叢 (ISSN:13434365)
巻号頁・発行日
no.19, pp.77-90, 2011

今日、米国におけるジャーナリズムは経営および報道の質において衰退を続けている。その最も大きな要因は、メディアの過度な商業化にある。1970年代後半からメディアの商業化が加速したことで、米ジャーナリズムはより安価なニュースを制作し、より多くの利益を得るというビジネス・モデルへ傾いていった。ニュース・ルームへの投資が削減される中で、調査報道は最も予算や規模が縮小している部門のひとつである。近年、非営利のオンライン調査報道機関が設立され始めている。非営利機関と既存の商業メディアが連携することで、非営利機関が行った調査報道を商業メディアが記事として伝えるという新たな情報発信の流れが生まれた。本稿では、2007年に設立され、2010年、2011年と2年連続でピューリッツァー賞を受賞したProPublicaを取り上げ、米国の新たなジャーナリズムの流れを検討する。ProPublica の運営において最も大きな課題は、非営利の形態を続けるために安定的な資金源を獲得することである。資金の安定化こそ、非営利メディア組織が質の高いジャーナリズムを維持・提供することの源になると考える。
著者
竹村 朋子
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.93-106, 2013-09-25
参考文献数
24

本稿の目的は、デジタル先進国の韓国における若者の「ダウンロードしたテレビ映像ファイルの視聴」と「テレビ機器を通した映像視聴」を比較し、各映像視聴手段の利用動機と利用動機をもたらす社会状況およびメディア状況について理解することである。そして、ダウンロードによるテレビ映像視聴がテレビ機器を通した映像視聴を代替しうるかを考察する。インタビュー調査の結果から、「ダウンロード視聴」に関して、「ファイルの保有性」「時間からの解放」「場所からの解放」「映像の多様性」「選択的視聴」「テレビ機器の非所有」という既存メディアの先行研究とは異なる利用動機が示された。「テレビ機器視聴」は、「共同視聴」「リアルタイム視聴」「画面の特性」などテレビ機器の独自特性に関連した動機によって行われている傾向がみられた。映像視聴動機に影響をもたらす要因として、「映像視聴手段の多様化」「映像コンテンツの多様化」「個人用テレビ機器の非所有」「地上波放送以外の放送コンテンツの人気」「日常生活の忙しさ」が確認された。「ダウンロード視聴」と「テレビ機器視聴」の2つの映像視聴手段が独自の動機をもって利用されていたことから、テレビ放送の存在価値を維持・向上するために、テレビのメディア特性を生かした映像視聴のあり方が求められる。
著者
鈴木 弘貴 金山 勉 内藤 耕 阿部 るり 阿部 るり 竹村 朋子
出版者
十文字学園女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

(1)トランスナショナル・グローバルなニュースメディアでも、ニュースの「選択」および「解釈」においては、国際・外国ニュースの「自国化」が見られ、「ナショナル」な側面を強く残している。(2)ニュース報道における現時点での「グローバルな視点」とは、「両論併記」のことであり、報道機関としての解釈の余地のない速報に注力している。(3)イスラーム世界ではローカルメディアにおいても、「イスラーム世界・同胞」を意識した報道姿勢が見られる放送局がある。