著者
堀 靖人 石崎 涼子 久保山 裕史 平野 均一郎
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.45-54, 2013-03
参考文献数
18
被引用文献数
1

ドイツの森林組合は日本の森林組合と同じように,小生産者の経済的不利益を協同によって克服することを目的とする。これに対してイザール・レッヒ森林組合は,中規模の森林所有者を組合員として新たに設立された新しいタイプの森林組合である。本稿は,当森林組合の聞き取り調査を元に,森林組合の活動内容と設立経緯を明らかにし,当森林組合のドイツ林業における意義を考察することを目的とする。当森林組合は1992年に設立された。組合員数は現在43名で,組合員の平均所有面積規模は650haで規模の大きな所有者からなる。当森林組合の最も重要な業務は,木材販売である。当森林組合の組合員数,木材販売量ともに拡大している。当森林組合は,中規模の森林所有者の森林組合であるという特徴の他,バイエルン州全域を対象とした広域の森林組合であるという特徴を持つ。当森林組合の意義として,(1)風害による木材価格の低迷,経営管理費用の増大による中規模森林経営の悪化への処方箋,(2)製材業の生産集中化に対する供給側としての対応,(3)中規模専用の森林組合として既存の森林組合との併存と機能分化があげられる。

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