著者
横山 泉
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.91-102, 2013-03-29

桜島火山には多くの寄生火口が地質及び地形の面から認められている.また,その噴火史において寄生火口の噴火がしばしば記録されている.寄生火口の分布パターンを調べるのに,色んな方法が提案されてきたが,ここでは,火山中心から半径方向の密度分布(km^2当たり)を調べた.一般論として,火山の下に点力源を仮定して,地表面で直応力の分布と水平差応力の分布を考え,岩石の強度を考慮すると,寄生火口の生ずる地点の見当がつく.それは,地表で力源を伏角51°で見る山腹の地点で,火山中心に対して対称な2点である.多くの火山では,対で生ずることは少ない.桜島火山の寄生火口の火道が主火道から分岐する深さを求めると,深さが3kmと10kmの2群となる.これらの深さと既に推定されているマグマ溜まりとの関連について触れた.桜島火山の歴史時代の(1471年以降の3)回の大噴火は総て,山頂に対称的に対をなして形成された.このことは力学的には正常であるが,事例としては例外である.ただ,分岐の深さが10kmの場合(1779〜80年噴火),山頂に対して対称位置に寄生火口が生じていない.この例外的な事例は,桜島地下で,浅部と深部で地殻構造が異なることに起因するのかも知れない.更に,寄生火口が再噴火しない機構について仮説を述べた.次の桜島火山の噴火地点は何処であろうか.山頂火口か,それでなければ,寄生噴火である.その場所は統計的に,山体の中心軸から約2.5km或は8.5kmの円環上で,かって噴火したことのない地点が考えられる.寄生火口の火道が主火道から分岐する機構が未解明である限り,これ以上のことは言えない.

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