著者
日野 勝吾
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学総合政策論集 (ISSN:13497049)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.47-61, 2012-12-25

我が国においては、平成12年から平成19年にかけて、国民生活の安心や安全を損なう企業不祥事が多発化したが、その多くは事業者内部の関係者等からの通報を契機として相次いで明らかになった。例えば、食品の偽装表示事件や自動車のリコール隠し事件はその代表例であるといえよう。こうした事象を踏まえ、我が国の政府は、企業不祥事を当該企業の労働者が通報した場合、解雇や不利益取扱いから法的に保護する制度を整備するとともに企業の法令遵守(コンプライアンス)経営を強化するため、「公益通報者保護法」(平成16 年法律第122 号)が平成16 年6月に成立し、平成18年4月1日に施行された。既に同法施行後、約6年が経過した(2)。以下では、我が国の公益通報者保護法との比較において有意な示唆を与える韓国の公益通報者保護法(なお、韓国では「公益申告者保護法」と訳されるのが一般である。)の全条文を掲載する。このことにより、我が国のそれとの比較において、公共政策の観点から考察するための好個な素材となるものと考える。すなわち、韓国の公益申告者保護法の全条文を概観することにより、我が国の公益通報者保護法の見直すべき論点を的確に見出すことができ、ひいては望ましい公益通報者保護制度の構築のあり方を再検討することにもつながると考える。なお、韓国の公益申告者保護法の詳説を含めた諸外国における公益通報者保護制度との比較法的検討については、別稿に期したい。

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