著者
日野 勝吾
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.67-85, 2016-09-30

公益通報者や内部告発者の保護のあり方については、労働法学や消費者法学等を交錯領域の研究分野として位置づけられる。とりわけ労働者(公益通報者)の保護の立場から、労働法学の役割は大きく、労働契約論や就業規則論に基づいて、企業秩序の維持、秘密保持義務との関連において公益通報をどのように捉えるべきかについて考察した。また、本稿では公益通報者保護法の論点を中心に具体的検討を進めた。
著者
日野 勝吾
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学総合政策論集 (ISSN:13497049)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.47-61, 2012-12-25

我が国においては、平成12年から平成19年にかけて、国民生活の安心や安全を損なう企業不祥事が多発化したが、その多くは事業者内部の関係者等からの通報を契機として相次いで明らかになった。例えば、食品の偽装表示事件や自動車のリコール隠し事件はその代表例であるといえよう。こうした事象を踏まえ、我が国の政府は、企業不祥事を当該企業の労働者が通報した場合、解雇や不利益取扱いから法的に保護する制度を整備するとともに企業の法令遵守(コンプライアンス)経営を強化するため、「公益通報者保護法」(平成16 年法律第122 号)が平成16 年6月に成立し、平成18年4月1日に施行された。既に同法施行後、約6年が経過した(2)。以下では、我が国の公益通報者保護法との比較において有意な示唆を与える韓国の公益通報者保護法(なお、韓国では「公益申告者保護法」と訳されるのが一般である。)の全条文を掲載する。このことにより、我が国のそれとの比較において、公共政策の観点から考察するための好個な素材となるものと考える。すなわち、韓国の公益申告者保護法の全条文を概観することにより、我が国の公益通報者保護法の見直すべき論点を的確に見出すことができ、ひいては望ましい公益通報者保護制度の構築のあり方を再検討することにもつながると考える。なお、韓国の公益申告者保護法の詳説を含めた諸外国における公益通報者保護制度との比較法的検討については、別稿に期したい。
著者
日野 勝吾 Shogo HINO 尚美学園大学総合政策学部非常勤
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 = Bulletin of policy and management, Shobi University (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.71-84, 2015-09-30

本稿では、大学教授がその使用者から命じられた配置転換命令を拒否したことを理由として、解雇処分を受けたことにつき、同人が解雇無効に係る確認訴訟を提起した事案について検討を図り、配転命令権の合理的範囲を研究するものである。This paper, as reason and that the professor of the University has refused to duties instructions that are instructions from the university, since dismissed, is intended to examine the cases that statute of limitations in search of confirmation such as invalid dismissal the university as the other party.
著者
日野 勝吾
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学総合政策論集 (ISSN:13497049)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.95-106, 2016-06-30

本稿は、世間の耳目を集めた大王製紙事件東京地裁判決をもとにしながら、内部告発に関する事実を記した告発状の真実相当性の判断、及び内部告発の目的・手段における妥当性判断について具体的に論及するものである。上記の争点に係る論及にあたって、公益通報者保護制度の意義と限界について触れつつ、消費者と労働者における生活を連環的に捉えて、生活者法の提起もしている。