著者
香川 香 土屋 由希 西藤 奈菜子 寺嶋 繁典
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.748-756, 2013-08-01

本研究の目的は,女子大学生の月経前症状と,レジリエンスやソーシャルサポートなどのストレス緩和要因,月経へのイメージおよびコーピングとの関連を明らかにすることである.女子大学生296名を対象に,質問紙調査を実施した結果,精神的訴えの顕著な者にレジリエンスやソーシャルサポートとの関連性が示され,彼女らは月経を否定的に認知し,何もせず我慢するといった消極的な対処態度を選択しがちであった.一方,身体的訴えの顕著な女子学生は,身体的訴えの強さとストレス緩和要因との間に関連性を認めなかった.また本調査結果から,身体的訴えの顕著な者は受診に結びつきやすく,月経を肯定的にとらえがちでスポーツなどの積極的な対処行動を用いる傾向が認められた.精神的訴えの顕著な学生には,(1)治療者との信頼関係の構築を目的にしたカウンセリングや,(2)周囲の他者への認知の変容を図るカウンセリングが有用と考えられる.また,月経前症状に関する啓発活動を通じて,実際のソーシャルサポートを増やすことも重要である.

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