- 著者
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森 正樹
- 出版者
- 埼玉県立大学
- 雑誌
- 埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
- 巻号頁・発行日
- vol.13, pp.125-131, 2011
【目的】発達障害生徒の教育的支援に必要とされる、学校と家庭間の関係構築に着目し、これを促進する教育相談の視座、及び技法の提言を目的とした。【方法】専門相談機関に来所した発達障害生徒の保護者の相談記録中の、学校や教師との関係に関する相談内容に着目し、エピソード等を収集・解釈した。【結果】教育現場における、家庭から提供された情報の活用、生徒のニーズへの着目と共通理解、特別支援への主体的実践等、これら諸点が教師と保護者間の関係構築に関与していた。【考察】教育相談において、(1)保護者が提供する情報の尊重と有効活用、(2)背景情報と文脈情報の重視、(3)意図・目的を確認し合う相互の対話、(4)相談の目的確認、(5)保護者の要望への適切な対応・応答、(6)教師自身のコミュニケーションの省察、(7)生涯発達支援における情報の価値への気付き、(8)支援仮説の言語化、(9)特別なニーズを有する生徒の支援を、教師の職業的アイデンティティーの中に位置付けることの重要性を提言した。