著者
岡島 亜希子 松井 龍之介 畑 浩一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.303, pp.31-35, 2012-11-12

金属回折格子の表面近傍を相対論的速度まで加速させた電子ビームを走らせると電磁波放射が得られることは、スミス・パーセル(SP)効果として1950年代から知られている。Urata等が非線形的にSP放射が強まる(超放射)ことを報告して以来、様々な観点からSP超放射の研究が広くなされてきた。とりわけテラヘルツ(THz)自由電子レーザー(FEL)として知られるチューナブルかつテーブルトップ型のTHz放射源を実現するものとして期待されている。SP超放射を得るためには、電子ビームと誘起された表面波の相互作用による電子ビームのバンチ化か重要な役割を果たすとされている。我々は簡素化PIC-FDTD法を用いて、THzの高周波プレバンチ電子ビームによるSP超放射特性の数値解析に取り組んでいる。このモデルでは電子バンチがガウス分布関数で与えられる電荷密度分布を持った単一の粒子であると仮定し、電子バンチの運動を二次元平面に制限している。電子の加速エネルギーが同一であっても、電子ビームのプレバンチ周波数を変化させることによりチューナブルなTHz-SP超放射を得ることができる。我々の知見は、次世代のチューナブル、テーブルトップ型のTHz-SP-FELの開発に新たな道を切り拓くだろう。

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