著者
得丸 公明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 自然言語処理研究会報告
巻号頁・発行日
vol.2014, no.5, pp.1-28, 2014-01-30

ヒ卜の言語は脊髄反射であるようだ.その生物物理的・分子生物学的基盤は他の脊椎動物の記号反射と同じ脳室内の脳脊髄液中の免疫細胞ネットワークである.およそ 7 万 7 千年前から 6 万 6 千年前にかけて,いまの南アフリカ共和国の東・西ケープ州に属する海岸線の近くで,ヒトは音素とアクセントを獲得したことによって無限の語彙とそれらを連接する文法を獲得して,論理的音節を一次元配列した音声波形を使ってデジタル通信を開始した.話し手から聞き手に送られる音声波形は,すぐに消える音声から,記録の残る文字,遠くに伝わる電話や放送のアナログ電気通信,双方向のオートマトンであるコンピュータ・ネットワークへと進化をとげた.一方,脳内の音声記号の形態は,一貫して免疫細胞ネットワークのままで,(i) 二分法論理によるパターン認識を行う抗原抗体反応と,(ii) 文法と思考を操作するための二元論論理による信号伝達系であり,音節の音素性とモーラ性がもつ論理性が,免疫細胞の二分法・二元論論理に対応する.脊髄反射が生理的基盤であるために,言葉の意味は常に過去の経験や思考に基づく反射であり,新しい単語にはすぐには対応できないほか,じっくり考える前に反射的対応をとってしまう.また,知能は過去の経験に基づいた均衡状態にあるために,自分が知らない事象や現象を耳にすると,無意識のうちにそれを拒否して門前払いするかあるいは否定的に受容してしまう.言語記憶を司ると思われる脳脊髄液中の B リンパ球のまったく同じ細胞の免疫ネットワーク構造が,五官記憶にもとづいて構成される具象概念にも,論理記憶にもとづいて構成されるさまざまな抽象概念にも適用されるために生じている混乱は,これまでほとんど検討されてこなかった.脳内免疫記憶ネットワークである言語と知能が正しく作用するためには,同じ B リンパ球の生理メカニズムが,五官記憶や論理記憶や言語記憶とネットワークしている事実に注目して,明快で段階的で可逆的な思考を重ねることによって,概念装置を正規化する必要がある.経験の裏付けのないアプリオリな数式や概念は,人類文明の知的発展のためには排除されなければならない.

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編集者: Karasunoko
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