著者
真崎 克彦
出版者
小学校英語教育学会
雑誌
JES journal = 小学校英語教育学会学会誌 (ISSN:13489275)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.179-194, 2013-03-20

本稿の研究目的は,小学校3年生に対して,チャンツを使用して英語学習を行った場合と,チャンツと同じ回数を単純に繰り返して練習した場合とでは,指導効果がどのように異なるかを検証することである。ここで検証する指導効果の一つは,情意面や意識面についての効果であり,もう一つは,発音に与える効果である。研究を行うために,3年生の2クラスを抽出し指導を行った。チャンツは,2種類準備し,どちらのクラスにもチャンツで学ぶ機会と,繰り返して練習する場を設定した。教材は,小学校の指導であるため,学習の一環であることを配慮し,カリキュラムに準拠したものを扱った。事後に行った児童の意識に関するアンケートによると,「楽しさ」についての印象では,チャンツの方が楽しいと感じている児童が多かった。しかし,「上手に話せるようになる。」,「発音が上手になる。」という観点では,差はなかった。発音に与える効果については,第1回目の指導後と,第5回目の指導後に録音した音声を比較して検証した。検証には,市販の音声評価ソフトを使用し,アクセント,イントネーション,音素がどれくらいモデル音声と近似しているかを数値的に評価し,統計処理した。結果は,いずれの項目にも有意な差はみられなかった。効果に差が表れなかったのは,3年生段階の指導として,文字を介さずにモデル音声を復唱させて指導したこと等が,原因と考えられる。これらの結果から,チャンツを使用することで,児童は楽しみながら意欲的に英語学習に取り組むことができるが,音声面での効果については,一層条件を整えて検証を試みる必要性が明らかになった。

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