著者
階戸 陽太
出版者
小学校英語教育学会
雑誌
JES journal = 小学校英語教育学会学会誌 (ISSN:13489275)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.102-114, 2012-03-20

本研究は,外国語活動必修化後の小学校教員の外国語活動に対する意識を探ること,更に,必修化後の課題について質的研究手法を用いて明からにすることを目的とする。調査は半構造化インタビューによるものとした。参加者は,石川県の小学校教員3名であり,この3名は,必修化前にインタビューを行った際に,教員間の外国語活動に対する意識差について,指摘していた。分析は,インタビューを書き起こし,グラウンデッド・セオリー・アプローチ(戈木, 2008)を基本にしながら,構造構成的研究法(SCQRM)(西條, 2007)の考えを参考に行った。この結果,外国語活動に対する小学校教員間の意識差については,これまでの積み重ねで「慣れ」が出てきていること,また,一方で「もう外国語活動については考えたくない」意識があることが明らかとなった。さらに,教員間に意識差があることが示された。
著者
真崎 克彦
出版者
小学校英語教育学会
雑誌
JES journal = 小学校英語教育学会学会誌 (ISSN:13489275)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.179-194, 2013-03-20

本稿の研究目的は,小学校3年生に対して,チャンツを使用して英語学習を行った場合と,チャンツと同じ回数を単純に繰り返して練習した場合とでは,指導効果がどのように異なるかを検証することである。ここで検証する指導効果の一つは,情意面や意識面についての効果であり,もう一つは,発音に与える効果である。研究を行うために,3年生の2クラスを抽出し指導を行った。チャンツは,2種類準備し,どちらのクラスにもチャンツで学ぶ機会と,繰り返して練習する場を設定した。教材は,小学校の指導であるため,学習の一環であることを配慮し,カリキュラムに準拠したものを扱った。事後に行った児童の意識に関するアンケートによると,「楽しさ」についての印象では,チャンツの方が楽しいと感じている児童が多かった。しかし,「上手に話せるようになる。」,「発音が上手になる。」という観点では,差はなかった。発音に与える効果については,第1回目の指導後と,第5回目の指導後に録音した音声を比較して検証した。検証には,市販の音声評価ソフトを使用し,アクセント,イントネーション,音素がどれくらいモデル音声と近似しているかを数値的に評価し,統計処理した。結果は,いずれの項目にも有意な差はみられなかった。効果に差が表れなかったのは,3年生段階の指導として,文字を介さずにモデル音声を復唱させて指導したこと等が,原因と考えられる。これらの結果から,チャンツを使用することで,児童は楽しみながら意欲的に英語学習に取り組むことができるが,音声面での効果については,一層条件を整えて検証を試みる必要性が明らかになった。