著者
羽生 和紀 Kazunori Hanyu 日本大学文理学部心理学科 Department of Psychology Nihon University
出版者
人間・環境学会
雑誌
人間・環境学会誌 (ISSN:1341500X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.21-29, 2003

人間は肯定的な意味を持つ環境には接近し、否定的な意味をもつ環境を避ける。しかし、現実の場面においては、このような行動は経済、時間、そして労力などのコストなどの制約要因を考慮に入れることになる。本研究は、このようなコストを考慮する現実の場面における、環境の意味の個人の行動に対する影響を検討したものである。174人の学生が、通勤のための時間と家賃の情報が与えられた22の場所に対して、その場所への住みたさとその場所に住むのにどのくらいの家賃を払いたいか(WTP)を評定した。重回帰分析の結果は、通勤時間と家賃の要因の影響を取り除いた場合においても、多くの場所のイメージが住みたさとWTPに有意な影響を与えていることを明らかにした。また、実際の家賃とこの実験のモデルから推定された家賃の間には高い相関が見られ、これはすでに場所のイメージが現実の家賃に反映されていることを示唆するものであった

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