著者
河合 伊六
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.39-48, 1998-03-31

発達心理学ではすでに,人生の各発達段階における心身の発達に関する膨大な情報を集積しており,学習(行動)心理学では,発達を促進させる有効な原理や方法を見い出している。本稿は,伝統的な発達研究が持っているいくつかの問題点,たとえば発達研究で多く用いられている相関論的研究で個人ごとの貴重な情報が捨て去られること,発達の規定因を主として内的要因に求めること,環境を構造的に捉えるために行動と環境との機能的関係が解明できないこと,発達を促進する積極的な取り組みが示唆されにくいことなどを取りあげる。とくに両者の見解の相違点を比較考察しながら,行動分析的見解を中心に据えて発達心理学的研究の成果を取り入れ,両者の統合の可能性を探ってみたい。

言及状況

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

【読了報告】 ラベリングを用いた発達理解への問題提起。重要なのは“環境と個人の行動の機能的関係”。 これを読んだら発達検査の所見の書き方が変わりそう。 https://t.co/HG2GuhkiV5

収集済み URL リスト