- 著者
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佐藤 英晶
- 出版者
- 帯広大谷短期大学
- 雑誌
- 帯広大谷短期大学紀要 (ISSN:02867354)
- 巻号頁・発行日
- no.51, pp.47-56, 2014-03-31
平成25年9月に発表された特別養護老人ホームへの入所を要介護3以上とする入所要件の変更など、介護保険制度における施設サービスの利用抑制や費用負担の見直しなどが進んでいる。高齢者人口の増大に伴う施設サービスニーズの拡大と介護保険料の高騰や社会保障給付費の増大という需給バランスをとりながら、福祉的理念を保った制度運営が求められる。しかし、一連の制度改革の方向性は、特別養護老人ホームの施設整備を抑制するなどにより、いかに介護保険給付費の増大を抑制するかという前提の下に進められている。特別養護老人ホームの入所要件の厳格化については、国が議論してきた内容そのものに大きな誤謬があることが、各種のデータ等から明らかになった。こうした財政的事情優先の制度改革は需給バランスの偏りや福祉的理念を欠き兼ねない問題を含んでいることが示唆された。