著者
大塚 姿子
出版者
環境芸術学会
雑誌
環境芸術 : 環境芸術学会論文集 (ISSN:21854483)
巻号頁・発行日
no.10, pp.63-70, 2011-10-15

音楽の世界が環境と大きく関わるようになったのは、ケージの思想、その後のサウンドスケープの登場があってのことである。環境と芸術の関係性がより重要になってきている現在、それに続く思想、実践はどのような方向に向かっているのか、そして環境とは何か、この難題にそろそろ取り組まなければならない時が来ている。本研究では20世紀現代音楽史上の環境と関わる試みを再考察し、環境の認識の変遷を明らかにする。また環境芸術、環境デザインといった領域における環境の捉え方に対する考察も同時に行なうことにより、現在の環境に関するアーティスティックな実践の方向性について探っていく。さらにサウンドスケープ的な視座にとどまることなく、独自の思考を押し進めている民族音楽学やサウンド・アートの分野での環境と関わる研究、実践についての検証を行った。その結果、音が人間および他の生物を含む環境を理解し、自らをそして他者を位置づけ、存在するための重要な媒介としての役割を果たしていること、またそれを明らかにすることが自らの実践であるとしているアーティスト達の志向を確認することができた。そしてこのような実践がどのような意義や価値を持つのか論じると共に、今後の展望についても考察を試みた。

言及状況

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

音の芸術における環境に関する考察 : サウンドスケープとポスト・サウンドスケープの思想 http://t.co/LdVa9krwDY

収集済み URL リスト