- 著者
-
遠藤 広晴
伊積 康彦
林 伸明
- 出版者
- 人間-生活環境系学会
- 雑誌
- 人間-生活環境系シンポジウム報告集
- 巻号頁・発行日
- vol.37, pp.187-190, 2013-11-22
夏季の通勤列車内の温熱環境の実態を把握するため,営業運転中の通勤列車内の温湿度測定,および主観評価を行った。駅間走行中の車内には水平方向に平均で3℃,最大で6℃程度の温度差が生じており,車内位置により温熱快適性が異なる可能性が示唆された。車内各位置の上下温度差は4℃以下であり,温熱快適性に大きな影響を及ぼすほどではなかった。温湿度変化速度は±1.0℃/min, ±6.0%/min程度まで観測され,非定常性の高い温熱環境であることを確認した。駅停車中のドア開時の温度上昇幅は,ドア直近では平均2.7℃,その他の位置では平均1.5℃程度であった。主観評価結果と評価時の温湿度測定値を基に,PMV,PPDを算出し,本調査での不快申告率,不満足申告率との比較を行った。PPDがPMV=0で最小値となるのに対し,不快申告率,不満足申告率はPMV=-0.5付近で最小値をとり,季節性が温熱快適性に影響を及ぼしていることが示唆された。