著者
大西 拓一郎
出版者
国立国語研究所
雑誌
国語研プロジェクトレビュー (ISSN:21850119)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.68-77, 2014-10

私たちのプロジェクトは方言分布を対象にして,経年調査を実施し,方言の形成過程を明らかにしようとしている。全国500地点において,実際に30年から50年程度の比較を可能にする方言分布のデータを得た。その中から現実に発生している言語変化をとらえることができた。新たに発生していることが確認されたナンキンカボチャは50年前にナンキンとカボチャが分布していた境界にあり,両者の混交で生まれたことを示している。動詞否定辞過去形のンカッタは自律的に発生した形で,複数箇所において別々に発生しており,30年前と比べると近畿地方中央部に広がるとともに,中国地方西部や新潟県ではすでに分布領域が確定していたことがわかる。名詞述語推量辞のズラは中部地方の代表的な方言形式であるが,静岡県を中心にコピュラ形式を内包するダラに変化しつつあることが明らかになった。ただし,経年比較を通して言語変化が多数見つかるからといって,現実のことば全体が変動し続けているわけではないことには注意が必要である。

言及状況

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”30年くらい前までは,大阪府の中心部で(当時の高年層)はこれらの「なかった」(動詞否定辞過去形)にあたるンカッタ,ヘンカッタ(以下では,まとめてンカッタ)は,用いられていなかった” 方言分布の変化をとらえた! http://t.co/OypOZNeuGI #CiNii

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編集者: Henlly3839
2021-12-17 04:50:32 の編集で削除されたか、リンク先が変更された可能性があります。

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